ローレンツ(Konrad Zacharias Lorenz)(読み)ろーれんつ(英語表記)Konrad Zacharias Lorenz

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ローレンツ(Konrad Zacharias Lorenz)
ろーれんつ
Konrad Zacharias Lorenz
(1903―1989)

ウィーン生まれのオーストリアの動物学者。エソロジーの創設者の一人。ドナウ川周辺のアルテンベルク(ウィーン郊外)の豊かな自然のなかで育った。ウィーン大学で医学を学んだのち、比較解剖学、心理学を学んだ。1931~1941年にコクマルガラスの行動、本能の概念、ガン・カモ類の比較行動学などエソロジーの重要な論文の研究はすべて故郷アルテンベルクでなされた。ハイイロガンの雛(ひな)が生後1、2日以内に動くものを、あたかも親とみなして追従する「刷り込み」現象、生得的な固定的行動型を解発させる「リリーサー」を研究し、また、本能の概念などエソロジーの多くの基本概念を提唱した。ローレンツは思索的、思弁的であり、自らは多くの実験をしなかったが、日常的に動物と接しながらエソロジーを創設した特異な科学者である。啓蒙(けいもう)書の『ソロモンの指環(ゆびわ)』(1949)には、彼の研究方法と動物へ接する態度がうまく描かれている。1940年、ケーニヒスベルク大学(現、イマヌエル・カント・バルト連邦大学)教授になり、第二次世界大戦後はミュンヘンのマックス・プランク研究所の初代所長を務めた。1973年、ティンバーゲン、フリッシュとともにエソロジーの優れた研究業績でノーベル医学生理学賞を受賞した。

[川道武男]

『日高敏隆訳『ソロモンの指環』(1963・早川書房/ハヤカワ文庫)』『ローレンツ著、日高敏隆他訳『攻撃――悪の自然誌』(1970/新装版・1985・みすず書房)』『ローレンツ著、日高敏隆他訳『動物行動学』全4冊(1977~1980・思索社/上下、ちくま学芸文庫)』

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