ワイセンベルクのX線カメラ(読み)ワイセンベルクノエックスセンカメラ

化学辞典 第2版 の解説

ワイセンベルクのX線カメラ
ワイセンベルクノエックスセンカメラ
Weissenberg camera

X線回折写真法の一つで,回転写真の一つの層線を1枚のフィルムに展開して記録するX線カメラ.回転写真や振動写真では,多数の回折点が一直線上に並んで重なり合いが起こり,指数付けや強度測定が困難になるので,回転結晶法の配置に加えて,層線スクリーンを用いて特定の一つの層線だけを取り出し,結晶の回転と同期して往復運動するフィルムに撮影する.多数の回折点が単純な曲線群にそって規則正しく配列し,指数付けや強度測定が容易になり,重なりも少なくなって測定値の精度が向上する.円筒フィルムを使うので,ブラッグ角が90°に近い高次の回折点も記録できる.また,フィルムを数枚重ねて用いる多重フィルム法により,1層線中の回折点は強弱全部を一時に記録できる.X線入射方向に対して結晶の回転軸の方向をかえることにより,高次のX線を記録することもできるようになっている.このような特長があるので,プリセッションカメラとは違って逆格子網面はひずむが,一般の化学物質の構造解析に用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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