ワシントンポスト

精選版 日本国語大辞典 「ワシントンポスト」の意味・読み・例文・類語

ワシントン‐ポスト

(Washington Post) アメリカ合衆国新聞ワシントンで発行されている有力朝刊紙。一八七七年創刊。一九五四年「タイムズヘラルド」を併合。国際ニュース、全国ニュースが豊富で、同紙の論調アメリカ政府議会影響力をもつ。

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デジタル大辞泉 「ワシントンポスト」の意味・読み・例文・類語

ワシントン‐ポスト(The Washington Post)

米国日刊新聞。1877年、ワシントンで創刊。1972年のウオーターゲート事件スクープなどで有名。発行部数は55万821部(2010年10月~2011年3月期平均)。

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改訂新版 世界大百科事典 「ワシントンポスト」の意味・わかりやすい解説

ワシントン・ポスト
The Washington Post

アメリカの日刊新聞。1877年首都ワシントンでハッチンズStilson Hutchins(1838-1912)により民主党系の朝刊紙として創刊された。88年《ナショナル・リパブリカンThe National Republican》と合併政党から独立した新聞となる。翌89年経営は,オハイオ選出の下院議員ウィルキンズBeriah Wilkinsらの手に移り,さらに1905年からはワシントンの資産家マックリーン家のものになる。この時期,第1次大戦期の報道統制を激しく批判するなど,ローカル・ペーパーからしだいに抜け出していく。しかし,マックリーン家はハーディング大統領と親しく,彼の退場後汚職にまきこまれ,また大恐慌の打撃もあって33年6月ついに競売にかけられる。著名な銀行家のマイヤーEugene Meyerが82万4000ドルで落札,彼はリベラルなモーリーFelix Morleyを編集長(1940年まで)に,論説に力を入れ,この新聞を高級言論紙として再生させる。いわゆるハーブロックHerblock(Herbert Block)の漫画もこれに貢献した。46年1月から経営を娘婿グレアムPhilip L.GrahamとアグネスAgnes E.Meyerにゆだね,現在に至るまでマイヤー家の所有(1976年以降は息子ドナルドが継ぐ)である。

 グレアムはアイゼンハワー,ケネディ,ジョンソンと歴代大統領に接近,政界の裏でいろいろな策謀もしたが,50年代から,いくつかのテレビ局,放送局を買収兼営して経営基盤を固めた。すなわち,54年3月競争相手であったマコーミックの《ワシントン・タイムズ・ヘラルドThe Washington Times-Herald》を850万ドルで買収,61年3月には《ニューズウィークNewsweek》誌も傘下に収めて,全国的に権威のある新聞に成長させた。紙面構成でもニュース,娯楽的側面に力を入れ,中産階級にも読者を伸ばす一方,リベラルな言論の伝統も守り,1950年代には他紙からは〈プラウダのワシントン版〉と悪口されるなど,ほとんど孤立無援の時期からマッカーシーに対する激烈な批判を続け,〈赤狩り〉ヒステリアの打倒に大きな役割を果たした。ベトナム戦争期には,《ニューヨーク・タイムズ》よりは遅れたが(もっとも論調はずっとタカ派だった),国防総省ベトナム極秘文書Pentagon Papersの暴露に歩調をそろえ世論の転換を促進した。続くウォーターゲート事件では,メディアの先頭に立って事件の全容解明,ニクソン訴追のキャンペーンをはった。78年から全米各地の大学などに対し,小包爆弾テロを続けている男(自称〈ユナボマー〉)が95年6月,同紙と《ニューヨーク・タイムズ》に声明文を送りつけ,全文掲載とひきかえに犯行を中止すると発表。同紙は考慮のすえ,9月19日付の8ページの別刷紙面で全文を公表した(費用と発行責任は2紙で共同負担)。この掲載について,その後にアメリカ新聞協会(NAA)が全米の発行者に対して行った調査の結果は,賛否ほとんど同数であった。1990年代後半時点での発行部数は70万~80万台。1994年からインターネットによる〈電子新聞〉事業を始めている。
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世界大百科事典(旧版)内のワシントンポストの言及

【ジャーナリズム】より

… 現代においてジャーナリズムの批判機能がもっともみごとに発揮されたのは,アメリカのベトナム戦争秘密文書公開とウォーターゲート事件であり,また日本の田中角栄首相の土地ころがし暴露であった。国防総省文書Pentagon Papers事件と呼ばれる第1の事件は,ベトナム戦争の経過の全容について国防総省が調査機関につくらせた膨大な報告書を《ニューヨーク・タイムズ》が紙面に掲載しはじめ,政府が裁判所に記事掲載差止めを提訴しているあいだに《ワシントン・ポスト》などの新聞もこの報告書を入手して,この宣戦布告なき参戦をいっせいに点検したことにはじまる事件である。言論の自由をさだめた憲法修正第1条に照らして新聞の文書公開は正当と判決され,各紙の記事がやがてアメリカ軍のベトナム撤兵つまり戦争終結を実現させた。…

※「ワシントンポスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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