一・壱(読み)いち

大辞林 第三版の解説

いち【一・壱】

〔下にカ・サ・タ・ハ行の音がきて一語のように用いられると「いっ」となる〕
数の名。自然数の第一番目の数。ひとつ。 「 -円」 「 -本」 「 -冊」
順序の最初。 「 -の宮」 「 -の子分」
物事の初め。最初。 「 -から始める」
最高。最上。一番。 「クラスで-の悪童」

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精選版 日本国語大辞典の解説

いち【一・壱】

[1] 〘名〙
① 数の名。最初の基本数。また、いくつかに分けたものの一つ。ひとつ。ひと。いつ。
※万葉(8C後)一六・三八二七「一(いち)二の目のみにはあらず五六三四さへありけり双六(すぐろく)の采(さえ)
※方丈記(1212)「惣(すべ)て都のうち、三分が一に及べりとぞ」 〔易経‐繋辞・上〕
② 物事の始め。最初。第一番目。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「父母ふみを一にてよむ」
※源氏(1001‐14頃)桐壺「一の御子は右大臣の女御の御腹にて」 〔老子‐四二〕
③ 最もすぐれていること。最も大事なこと。また、そのもの。第一。最上。一等。
※霊異記(810‐824)中「一を得て運を撫で」
※枕(10C終)一〇一「すべて人に一に思はれずは、なににかはせん」
④ (名詞の上について) 多くの中の不確定な一つをさす。ある。
※日の出前(1946)〈太宰治〉「東京の一家庭に起った異常な事件である」
⑤ 極端なこと。はなはだしいこと。
※大観本謡曲・七騎落(1483頃)「御供のうちに、某(それがし)一の老体にて候」
⑥ 三味線の糸の中の最も太いもの。いちのいと。
※雑俳・柳多留‐四(1769)「年わすれかわれぬ時分一が切れ」
⑦ 髷(まげ)などの、元結(もとゆい)でくくったところから、後方に出た部分。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二「一(イチ)が上り過たじゃあないかね」
⑧ 酒の一合。
※滑稽本・八笑人(1820‐49)五「紅葉(もみぢ)おろしで一(イチ)よ」
⑨ 「いちにち(一日)」の略。特に八月一日(八朔(はっさく))。
※雑俳・川傍柳(1780‐83)三「一(いチ)はのがれたが十五是天命」
⑩ さいころの一の目のこと。
※仮名草子・竹斎(1621‐23)上「一の裏は六、悪の裏は善也」
⑪ 笙(しょう)の管名。盤渉(ばんしき)の音律を出すもの。
※楽家録(1690)一〇「譜十字 十〈双調〉下〈下無〉乙〈平調〉工〈上無〉美〈鳬鐘〉一〈盤渉〉行〈黄鐘〉凡〈壱越〉乞〈下黄鐘〉比〈神仙〉」
[2] 〘副〙 一番。第一に。最も。→いいちいっち
※足利本論語抄(16C)公冶長第五「孔子七十余国を遍歴するに居陳三年そ一久しいそ」
※虎明本狂言・祇園(室町末‐近世初)「いちほねおりて見えけるはいかなる人ぞ」

いつ【一・壱】

〘名〙
① 数の名。最初の基本数。また、いくつかに分けたものの一つ。「も」を伴って、少しも、の意にも用いる。ひとつ。いち。
※史記抄(1477)六「抜山之力蓋世之気一も用に不立ぞ」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)白川の関「中にも此関は三関の一(いつ)にして」
② 同じこと。同様。同一。「軌を一にする」
※史記抄(1477)五「本注の写本は、いつも伐と代とをば一にするほどに」
③ 一つに集中すること。合同。統一。「力を一にする」
※教育に関する勅語‐明治二三年(1890)一〇月三〇日「我が臣民克(よ)く忠に克く孝に、億兆心を一にして」
④ 一方。あるもの。別のもの。
※妾の半生涯(1904)〈福田英子〉二「民間には義士烈婦ありて、国辱をそそぎたりとて、大に外交政略に関する而已(のみ)ならず、一(イツ)は以て内政府を改良するの好手段たり、一挙両得の策なり」
※文学史的空白時代(1928)〈大宅壮一〉三「一(イツ)を良心的と讚へ、他を非良心的と貶(けな)したが」
⑤ (「に」を伴って副詞的に用いる) もっぱら。ひとえに。「いつに日頃の研究心のたまものです」「成否はいつにかかってここにある」 〔礼記‐礼運〕

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