一人・独(読み)ひとり

精選版 日本国語大辞典 「一人・独」の意味・読み・例文・類語

ひと‐り【一人・独】

[1] 〘名〙
① 人を数える数詞。一個の人。また、他を伴わない自分だけ、複数の中の一個人をいう。ただひとり。いちにん。→り(人)
万葉(8C後)五・八一八「春さればまづ咲く屋戸の梅の花比等利(ヒトリ)見つつや春日暮らさむ」
② 夫または妻のないこと。独身。ひとりみ。また、一時的に配偶者などが不在の時にもいう。
古事記(712)下・歌謡八田(やた)の 一本菅(ひともとすげ)は 比登理(ヒトリ)居りとも 大君し よしと聞こさば 比登理(ヒトリ)居りとも」
※地獄の花(1902)〈永井荷風〉一「姉さんはまだお独身(ヒトリ)なんですか」
[2] 〘副〙
単独で。そのものだけで。人に限らずいう。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「虚尸荒野に残り留まり、魂孤(ヒトり)、三途に馳す」
古今(905‐914)夏・一三六「あはれてふことをあまたにやらじとや春におくれてひとり咲くらん〈紀利貞〉」
② ひとりでに。自然に。
※仮名草子・浮世物語(1665頃)一「勝て詮なき博奕(ばくち)なり。心を尽して何かせんと、ひとり博奕は止まるべし」
③ 下に否定の語を伴って、「単に…だけではない」意を表わす。ただ。単に。
花柳春話〈織田純一郎訳〉題言(1878‐79)〈成島柳北〉「独り其情痴吾徒の如き者のみならず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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