一遍・一反(読み)いっぺん

精選版 日本国語大辞典 「一遍・一反」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ぺん【一遍・一反】

〘名〙
① 行為や事態の回数としての一度。一回。
※延喜式(927)三九「種子一斗五升、惣単功十四人半。耕地一遍
平家(13C前)一〇「無二懇念をいたして、若(もし)は十反、若は一反も唱へ給ふ物ならば」
② 物事の始めから終わりまで。ひとわたり。一部始終
聖徳太子伝暦(917頃か)敏達天皇七年「太子焼香披見。日別一二巻。至冬一遍了」 〔魏志注‐賈達伝〕
③ 空間的なある範囲の一方の端から他の端までの全体。そこらじゅう。ずっとひとわたり。一円。
高野山文書‐(天正一二年)(1584)八月四日・羽柴秀吉朱印状「当国儀、太刀も刀も不入躰に而、一篇申付候間、可心易候」
※信長公記(1598)首「去て美濃国一篇に仰付けられ」
④ 抵抗力がはたらく間もなく、たちまち事態が成り立つさま。すぐさま。いちどき。同時。→一遍に
※若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上「思ひがけない下卑た言葉が吐き出されたので一ぺんでいやになった」
⑤ (名詞に付いて接尾語的に用いる) 表向きだけで中に誠意のこもらない意を表わす。
※読本・昔話稲妻表紙(1806)五「せめて来世夫婦とおぼされて、をりをり一遍(イッペン)の御回向ねがひはべるぞかし」
※土(1910)〈長塚節〉一六「親方義理一遍(ペン)のやうにいふと」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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