精選版 日本国語大辞典 「丁子・丁字」の意味・読み・例文・類語
ちょう‐じ チャウ‥【丁子・丁字】
〘名〙
① フトモモ科の常緑高木。モルッカ諸島原産で、アジアの、主に熱帯で広く栽植されている。幹は高さ一〇メートルくらい。葉は長さ約七センチメートルの先のとがった卵状長楕円形で、対生し光沢があり革質で油点を散在する。花はつぼみで白色、やがて淡紅色の小さな筒状花となり、枝先に集まって咲く。花弁は落ちやすく、多数の雄しべをもち、強い芳香がある。果実は紡錘形で長さ二センチメートルくらい。つぼみを乾燥させたものを丁子、あるいは丁香といい、古来、有名な香料の一つで、紀元前からギリシアや漢に知られ、日本では正倉院御物にみられる。一五世紀ヨーロッパではこの香料を求めて争奪戦が起こった。香料や健胃・防腐など多方面に用いる。クローブ。丁子香(ちょうじこう)。《季・春》
※聖徳太子伝暦(917頃か)上「其実鶏舌。其花丁子。其脂熏陸。沈レ水久者為二沈水香一」
② 「ちょうじいろ(丁子色)」の略。
③ 「ちょうじこう(丁子香)」の略。
④ 「ちょうじゆ(丁子油)」の略。
※松翁道話(1814‐46)三「紅、おしろいで年を化かし、梅花、丁字で髪を化かし」
⑤ 「ちょうじがしら(丁子頭)」の略。
※狂歌・徳和歌後万載集(1785)一〇「世をすつる心もほそきともし火に物おもはする吉丁子かな」
⑥ 「ちょうじびき(丁子引)」の略。
⑧ 刀剣の刃文の一つ。沈丁花に似た賑やかな乱れ刃。
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