丁子・丁字(読み)ちょうじ

大辞林 第三版の解説

ちょうじ【丁子・丁字】

フトモモ科の常緑高木。モルッカ諸島の原産。アフリカ・東南アジアで栽培される。葉は油点が多く芳香がある。花は筒状の白色四弁で香りが強く、枝頂に多数つく。蕾つぼみを干したものを丁子・丁香あるいはクローブといい、香料として珍重される。また蕾・花柄・葉などから丁子油をとり、香料・薬用とする。
家紋の一。丁子の実をかたどったもの。
ジンチョウゲの俗称。 [季] 春。
「丁子油」「丁子頭がしら」の略。
刃文の一。丁子菊に似たにぎやかな乱れ刃。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ちょう‐じ チャウ‥【丁子・丁字】

〘名〙
① フトモモ科の常緑高木。モルッカ諸島原産で、アジアの、主に熱帯で広く栽植されている。幹は高さ一〇メートルくらい。葉は長さ約七センチメートルの先のとがった卵状長楕円形で、対生し光沢があり革質で油点を散在する。花はつぼみで白色、やがて淡紅色の小さな筒状花となり、枝先に集まって咲く。花弁は落ちやすく、多数の雄しべをもち、強い芳香がある。果実は紡錘形で長さ二センチメートルくらい。つぼみを乾燥させたものを丁子、あるいは丁香といい、古来、有名な香料の一つで、紀元前からギリシアや漢に知られ、日本では正倉院御物にみられる。一五世紀ヨーロッパではこの香料を求めて争奪戦が起こった。香料や健胃・防腐など多方面に用いる。クローブ。丁子香(ちょうじこう)。《季・春》
※聖徳太子伝暦(917頃か)上「其実鶏舌。其花丁子。其脂熏陸。沈水久者為沈水香
※源氏(1001‐14頃)蜻蛉「丁子に深く染めたるうすものの単衣を」
※今昔(1120頃か)三〇「丁字(ちゃうじ)の香(か)、極(いみじ)く早う聞(かが)ゆ」
※松翁道話(1814‐46)三「紅、おしろいで年を化かし、梅花、丁字で髪を化かし」
※狂歌・徳和歌後万載集(1785)一〇「世をすつる心もほそきともし火に物おもはする吉丁子かな」
⑦ 紋所の名。丁子の実をかたどった図柄のもの。丸に一つ丁子、六つ丁子、折れ丁子、三つ丁子、丁子桐、丁子車、丁子菱、抱き丁子、違い丁子などがある。
⑧ 刀剣の刃文の一つ。沈丁花に似た賑やかな乱れ刃。

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