丁稚・丁児(読み)でっち

精選版 日本国語大辞典 「丁稚・丁児」の意味・読み・例文・類語

でっ‐ち【丁稚・丁児】

[1] 〘名〙
商人または、職人の家に奉公し、雑役使い走りなどにつかわれる少年。小僧
※仮名草子・仁勢物語(1639‐40頃)下「大淀の渡にて、伊勢の賽打のでっちに云ひ掛けける」
※浮世草子・西鶴織留(1694)一「でっちに行燈掃除させて其油紙にて煙管を琢(みがか)せ」
② 年少者。少年。また、年少者をいやしめていうことば。
浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)上「馬子でも子供は大事ない。お許しぢゃそのでっちに、持って参れと呼うでおじゃ」
※談義本・世間万病回春(1771)三「手比なる調市(デッチ)小女童(こめろ)とらまへては」
③ 人形の頭(かしら)の一つ。商家に奉公する少年の役に用いる。
[2] 歌舞伎所作事。長唄。篠田金次作詞。初代杵屋勝五郎作曲。文化一二年(一八一五江戸中村座初演。三代目中村歌右衛門の九変化舞踊「其九絵彩四季桜(そのここのえさいしきざくら)」の一つ。酒屋丁稚が犬を相手に踊る。
[補注]漢字表記としては丁稚・丁児・調市・童奴などがある。同義の語として「こぞう」があるが、「随・守貞漫稿‐四」に「奉公人〈略〉民間の奉公に亦差あり、工商家等童形に仕ゆる者を京坂にて丁稚丁児とも云。ともにでっちと訓ず、江戸にては小僧と云」とある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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