七飯(町)(読み)ななえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「七飯(町)」の意味・わかりやすい解説

七飯(町)
ななえ

北海道南西部、渡島(おしま)総合振興局管内の町。1957年(昭和32)町制施行。渡島半島のほぼ中央部、駒ヶ岳(こまがたけ)の南麓(なんろく)にあり、南東部は函館市に接する。北部に大沼小沼、蓴菜沼(じゅんさいぬま)があり、大沼国定公園域に指定され、2012年(平成24)ラムサール条約登録湿地となる。東部の横津岳西麓(せいろく)には扇状地や段丘地形がみられる。JR函館(はこだて)本線、国道5号が通じる。江戸初期から和人の居住があったが、1869年(明治2)五稜郭(ごりょうかく)を占領した榎本武揚(えのもとたけあき)と開墾条約を結んだドイツ(プロイセン)人ガルトネルR・Gaertner(生没年不詳)がこの地に農場を開いたのが発展の契機となり、北海道の洋式農法普及の端緒ともなった。ジャガイモの代表的品種「男爵いも」の発祥地でもあり、男爵川田龍吉(りょうきち)(1856―1951)が当地で初めて栽培した。現在も農業が盛んで、水稲、ジャガイモのほか、ニンジンダイコン、ネギなどの野菜、リンゴ、花卉(かき)などを産し、酪農畜産も行われる。食品、電機などの工業も進出している。大沼周辺には観光保養施設が多く、7月に湖水まつり、2月に雪と氷の祭典が行われる。仁山(にやま)高原などにはスキー場がある。水無沢には、明治初年にガルトネルが植林したブナ林がある。面積216.75平方キロメートル、人口2万7686(2020)。

[瀬川秀良]

『『七飯町史』(1976・七飯町)』


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