三綱(寺院)(読み)さんごう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三綱(寺院)」の意味・わかりやすい解説

三綱(寺院)
さんごう

寺院において僧尼統轄し、雑務を処理する3種の役職名で、上座(じょうざ)、寺主(じしゅ)、都維那(ついな)をいう。インド以来の役職であるが、わが国では『日本書紀』大化(たいか)元年(645)条に寺主の名がみえる。また、朱鳥(しゅちょう)元年(686)条に三綱の名がみえるが、前記の三綱とは異なる。律令(りつりょう)制による三綱は、僧尼の統轄、雑務の処理のほか、還俗(げんぞく)に至らない罪の処罰を下す権限があった。870年(貞観12)に諸寺に別当(べっとう)が設けられると、以後その権利はしだいに弱体化していった。

[二葉憲香]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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