三遊亭円遊(1世)(読み)さんゆうていえんゆう[いっせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三遊亭円遊(1世)」の意味・わかりやすい解説

三遊亭円遊(1世)
さんゆうていえんゆう[いっせい]

[生]嘉永3 (1850).5.28. 江戸
[没]1907.11.26. 東京
落語家。本名竹内金太郎。小石川小日向の紺屋の息子。慶応4(1868)年頃 2世五明楼玉輔に入門し,五明楼志う雀を名のる。明治5(1872)年三遊亭円朝門下に移り,1世三遊亭円遊となる。以前に円遊を名のった者が 2人いるため,本来は 3世にあたるが,円遊がずば抜けて売れたので 1世とされる。1879年すててこ踊で人気を博す。すててこ踊は,着物をはしょって半股引(すててこ)を見せて「すててこてこてこ」と踊ったもので,浅草広小路大道芸幇間の芸を参考に考案した。すててこ踊で人気者になったため「すててこの円遊」,また鼻が大きかったことから「鼻の円遊」と呼ばれ,へらへらの萬橘(1世三遊亭萬橘),ラッパの円太郎(4世橘家円太郎),釜掘りの談志(4世立川談志)とともに明治の四天王といわれた。1880年真打ち昇進珍芸だけでなく,それ以前は陰気な話だった『野ざらし』や人情噺の一部だった『船徳』を爆笑ネタに改作したりもした。人情噺でなければ真打ちになれなかった当時の寄席で,禽語楼小さん,3世柳家小さんとともに滑稽噺を真打ち芸として確立させた。(→落語

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