上げる・揚げる・挙げる(読み)あげる

大辞林 第三版の解説

あげる【上げる・揚げる・挙げる】

( 動下一 ) [文] ガ下二 あ・ぐ
より高い所へ物を移動させる。 《上・揚》 ⇔ おろす 「たんすを二階に-・げる」 「手を頭の上に-・げる」 「船から陸に荷を-・げる」
地面や水の中など低い所にあったものを、空中や水上などの高い所に動かした状態にする。 《上・揚》 「原っぱで凧たこを-・げる」 「畳を-・げて干す」 「網を-・げる」
顔や視線など、下向きになっていたものを上向きにする。 《上》 ⇔ 伏せる 「顔を-・げてこちらを見る」 「目を-・げて相手を見つめる」
熱した油の中に材料を入れて、天ぷら・フライなどを作る。 《揚》 「天ぷらを-・げる」
屋外や土間から人を部屋へ入れる。 《上》 「客を座敷に-・げる」
人を別の場所に行かせる。 「使いを-・げる」 「息子を奉公に-・げる」
自分の子供を学校に入学させる。また、進学させる。 《上》 「子供が六歳になったら小学校に-・げる」
定形のないものやひそんでいたものを、現れるようにする。出す。
煙・炎などを、上方に立ちのぼるようにする。 《上》 「真っ赤な炎を-・げて燃える」
大きな声を発する。 《上・揚》 「喚声を-・げる」 「金切り声を-・げる」
利潤やよい成果をおさめる。 《上・挙》 「多額の利益を-・げる」 「好成績を-・げる」
話題となっているものを明確にするために、名称・事実・例・数値などを具体的に示す。 《挙》 「次期社長の候補として三人の名を-・げる」 「例を-・げる」
犯人をつかまえる。証拠などを発見する。 《挙》 「犯人を-・げる」
低い段階・程度にあった物事を、より高い段階・程度に変化させる。高める。 《上》 ⇔ さげるおとす 「もっと給料を-・げてもらいたい」 「あまりスピードを-・げると危険だ」 「ピッチを-・げる」 「部屋の温度を-・げる」 「位くらいを-・げる」 「成績を-・げるために家庭教師を付ける」
物事を最後までし終える。完了する。 《上》 「この仕事は今月中に-・げてしまわなければならない」
(「…であげる」の形で)合算した費用・日数などがその範囲内で済むようにする。 「総額一千万円で-・げる」
「与える」「やる」の丁寧な言い方。 《上》 「この本、あなたに-・げます」 「ほうびを-・げる」 「子供におやつを-・げる」 「鳥にえさを-・げる」
神仏に供物くもつを捧げたり、祈りの言葉をささげたりする。 《上》 「お墓に線香を-・げる」 「仏前でお経を-・げる」 「祝詞のりとを-・げる」
妓楼で、相手を客として中に入れる。 「一見いちげんの客は-・げるわけにはいかない」
(芸者を)宴席に呼んで遊ぶ。 《揚》 「芸者を-・げて遊ぶ」
いったん食べたものを、吐く。対象を省略して自動詞的にも用いる。 《上》 「船に酔ってすっかり-・げてしまう」
〔生まれた赤ん坊を「取り上げる」ということから〕 自分の子供をつくる。儲もうける。母親にも父親にもいう。 《挙》 「結婚して一男二女を-・げた」
(「全力をあげる」の形で)すべての能力を出し尽くす。 《挙》 「問題解決のため全力を-・げる」
(「…をあげて」の形で)構成メンバーがそろって…するさまを表す。 《挙》 「国を-・げて歓迎する」 「世を-・げて」
結婚式を行う。 《挙》 「教会で結婚式を-・げる」 「祝言を-・げる」
潮が満ちて水位が上がる。 「夕方になると潮が-・げてくる」
「与える」の謙譲語。 「プレゼントを-・げる」
(補助動詞) 動詞の連用形に接続助詞「て」の付いた形に付き、主語で表されるサービスの送り手が、他人のためにすることを、送り手の側から表す。(普通は仮名書き) 《上》 「友達に本を貸して-・げた」 「お宅まで送って-・げましょう」 〔「 …てやる」と異なり、受け手に対する軽い敬意がこめられている。目上に対しては「さしあげる」を用いるのが一般的〕
動詞の連用形に付いて、最後までそれを成し遂げる意を表す。…し終える。 《上》 「論文を書き-・げる」 「一週間でマフラーを編み-・げる」
謙譲の意を表す動詞について、その意味を強める。 「申し-・げる」 「存じ-・げる」 〔上代からの語。「あがる」に対する他動詞。は本来は謙譲語であるが、現在ではのように下の立場の者に対し、「やる」の意味で用いることもある〕
[慣用] アドバルーンを- ・ 腕を- ・ 産声を- ・ 得手に帆を- ・ 追風おいてに帆を- ・ おだを- ・ 男を- ・ 凱歌を- ・ 株を- ・ 気炎きえんを- ・ 軍配を- ・ 呱呱ここの声を- ・ 腰を- ・ 尻を- ・ しるしを- ・ 棚に- ・ 血祭りに- ・ 血道を- ・ 手を- ・ とこを- ・ 名を- ・ 名乗りを- ・ 熱を- ・ を- ・ 狼煙のろしを- ・ 旗を- ・ 一旗- ・ 悲鳴を- ・ 兵を- ・ 星を- ・ 神輿みこしを- ・ メートルを- ・ 槍玉に-三日にあげず ・ 諸手もろてを挙げて
[表記] あげる(上・揚・挙)
「上げる」は“上の方へ移動させる。高くする。はき出す”の意。「顔を上げる」「机を二階に上げる」「喚声を上げる」  「揚げる」は“熱した油で調理する。かかげる”の意。「天ぷらを揚げる」「国旗を揚げる」  「挙げる」は“上へ動かす。示す。犯人をつかまえる。事を行う”の意。「手を挙げる」「例を挙げる」「犯人を挙げる」「全力を挙げる」「兵を挙げる」「祝言を挙げる」
[句項目] 上げたり下げたり

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

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