精選版 日本国語大辞典 「下・提・垂」の意味・読み・例文・類語
さげ【下・提・垂】
〘名〙 (動詞「さげる(下)」の連用形の名詞化)
① さげること。つるすこと。⇔あげ。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)四「馬からをちた時には髪がゆがむぞ。其やうにゆがめてゆうぞ。日本のやうに、さげにはゆわぬぞ」
② 日本音楽の用語。旋律の進行において、低い音に進むこと、およびその部分。謡曲では「落チ」ともいう。ただし、その記号「落チ」の略号である「ヲ」は、一つの音だけが下がることで「下ゲ」は二つ以上の音が連続して下がることを示す。
※音曲声出口伝(1419)「下 花は雨のすぐるによて紅まさに老たり」
③ 江戸時代、事件を印刷して急報することを業とした者。また、その印刷物。
④ よだれかけ。
⑤ 岡持。
※雑俳・智恵車(1716‐36)「水誉て腹損って下にする」
⑦ やめること。
※雑俳・川柳評万句合‐安永五(1776)義二「下ケにするそうて相手もかみをゆひ」
⑧ 相場が安くなること。下げ足。下落。
※家族会議(1935)〈横光利一〉「今までの新東の下げは仁礼としては、まだ本勝負に這入った活動ではなかった」
⑨ 目上から渡されること。官府から支給されること。
⑩ 縒(よ)った絹糸の量の単位。あげわくからはずした綛糸(かせいと)二〇綛を一提とする。
⑪ 「さげお(下緒)」の略。
⑬ 毎日渡す賃金をいう芝居者仲間の隠語。
※南水漫遊拾遺(1820頃)四「歌舞伎楽屋通言〈略〉さげ、日々に渡す賃銭」
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