不知火(旧町名)(読み)しらぬひ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「不知火(旧町名)」の意味・わかりやすい解説

不知火(旧町名)
しらぬひ

熊本県中部、宇土(うと)郡にあった旧町名(不知火町(まち))。現在の宇城市(うきし)東南部、不知火町地区に当たる。旧不知火町は1956年(昭和31)松合(まつあい)町と不知火村が合併して不知火町となる。2005年(平成17)三角(みすみ)町、松橋(まつばせ)町、小川(おがわ)町、豊野(とよの)町と合併、市制施行して宇城市となった。なお、この合併で行政単位としての宇土郡はなくなった。旧町域は、宇土半島の南東部を占め、そのほとんどが更新世(洪積世)前期火山岩の丘陵・低山地からなる。JR鹿児島本線が通じ、八代海(やつしろかい)(不知火海(しらぬいかい)ともいう)に面する海岸沿いには国道266号が走る。主産業は、ミカンブドウを中心にした果樹農業にあるが、丘陵地の広く展開している東半域では、葉タバコ栽培に加えて、水田裏作としてのメロン、トマト栽培が目だつ。他方、西半域では、クルマエビ、ノリの養殖などが盛んである。また、八朔(はっさく)(旧暦8月1日)の深夜に現れる奇現象の火は「不知火(しらぬい)」と崇(あが)められ、現在では、装飾古墳(桂原(かずわら)古墳)、宇土藩主細川興文(おきのり)の別荘蕉夢庵(しょうむあん)などとともに有力な観光資源になっている。

[山口守人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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