不良債権のオフバランス化(読み)ふりょうさいけんのおふばらんすか

知恵蔵 の解説

不良債権のオフバランス化

銀行等の金融機関が、不良債権貸借対照表から除去すること。不良債権の貸借対照表計上額を貸倒引当金の計上(いわゆる間接償却)によらず直接減額する直接償却と、売却などにより不良債権を処分する方法とがある。直接償却は破産清算や法的整理の対象債務者向けの破綻先債権や、これに準ずる実質破綻先債権が対象。2002年10月の金融再生プログラムでは、主要行の不良債権比率を05年3月期までに4%程度に下げることを目標にオフバランス化が推進された。一方で、不良債権処理促進のため、整理回収機構(1999年設立。破綻金融機関の営業譲り受け、資本増強金融機関の劣後債の引き受け等を行う)の機能強化、デット・エクイティ・スワップや企業再生ファンドの活用促進、産業再生機構の設立などの対策も講じられた。その結果、主要行の不良債権比率は、06年3月期に1.8%まで低下。なお現在は中小地域金融機関に軸足が移っている。

(吉川満 (株)大和総研常務理事 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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