不行・不嫁(読み)いかず

精選版 日本国語大辞典 「不行・不嫁」の意味・読み・例文・類語

いか‐ず【不行・不嫁】

〘名〙
① 不人情なこと。意地悪なこと。物事情趣を解さないこと。また、その人。いけず。
浮世草子・男色大鑑(1687)一「奈良の都にいかずの念者を見かぎり」
ぐうたら極道者。ならず。
浄瑠璃・東海道七里艇梁(1775)六「ヤア育君(そだてぎみ)のいかず殿が」
③ 役に立たないこと。あってもむだなこと。無効。
※浮世草子・世間子息気質(1715)二「今迄手形箱にある、いかずの古証文
④ にせもの。不正な品物。→いかずもの
⑤ (不嫁) 婚期を過ぎても嫁にいかないこと。また、その人。オールドミス。→いかずごけ
※浮世草子・風流曲三味線(1706)二「皆いかずの姉御をこはがり」
[語誌]似た意味・用法を持つ語に「いけず」があるが、「いかず」は基本的には近世語であり、明治以降姿を消していく。「いけず」は、現代大阪方言としても用いられ、「いかず」よりも新しい表現かと思われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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