世・代(読み)よ

大辞林 第三版の解説

よ【世・代】

〔「よ(節)」と同源。区切られた期間の意〕
人間が集まり生活の場としている所。世間。また、そこに生活している人々。 《世》 「 -の荒波にもまれる」 「 -に出る」 「 -をはかなむ」
俗世間。凡俗の住む、わずらわしい現実社会。 《世》 「 -をいとう」
ある支配者が治めている期間。また、同一系統の者が政体を維持している期間。時代。 「公家の-」 「徳川の-」
人が生まれてから死ぬまでの期間。一生。 「わが-の春」
仏教で説く、過去(前世)・現在(現世)・未来(来世)など、ある人の生きている世界。 《世》 「あの-に行く」
寿命。生きていられる年齢。 「君が-も我が-も知るや岩代の岡の草根をいざ結びてな/万葉集 10
時節。時期。折。 「をとこ、思ひかけたる女の、え得まじうなりての-に/伊勢 55
男女の仲。 「わがごとく我を思はむ人もがなさてもや憂きと-を試みむ/古今 恋五
ある人が家長として統率している期間。 「竹筍斎も隠居して、-を岩次郎にゆづりけり/黄表紙・敵討義女英」 〔「 -に」などの場合、アクセントは [1]〕 → 世に

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精選版 日本国語大辞典の解説

よ【世・代】

〘名〙 (竹の節と節との間をいう「よ(節)」と同語源で、時間的・空間的に限られた区間の意)
[一] 人が生まれてから死ぬまでの期間。一代。一期(いちご)
① 一生。生涯。人生。
※古事記(712)上・歌謡「沖つ鳥 鴨どく島に 我が率寝し 妹は忘れじ 余(ヨ)のことごとに」
※杉風宛芭蕉書簡‐元祿七年(1694)閏五月二一日「を旅に代かく小田の行もどり」
② 寿命。年齢。→世長(た)く世尽く
※万葉(8C後)一・一〇「君が歯(よ)も吾が世(よ)も知るや磐代の岡の草根をいざ結びてな」
[二] 時の流れ、歴史などの中のある区分。
① ある時代。年代。
※万葉(8C後)九・一八〇七「とほき代(よ)に ありけることを きのふしも 見けむがごとも 思ほゆるかも」
※徒然草(1331頃)一三「ひとり灯のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなうなぐさむわざなる」
② 国がある支配者によって統治される期間。特に、天皇によって統治される期間。代(だい)
※古事記(712)中「此の天皇の御世に病多(さは)に起りて、人民死にて尽きむと為き」
※読本・雨月物語(1776)白峯「朕(わが)皇子の重仁こそ国しらすべきものをと、朕(われ)も人も思ひをりしに〈略〉雅仁に代(ヨ)を簒(うば)はれしは深き怨にあらずや」
③ 転じて、天皇。また、朝廷。また、国政。→世に仕える世の重し
④ 同一の系統、政体によって主権が維持され、それが継承される期間。「武家の世」
※高野本平家(13C前)六「源氏の代(ヨ)となって後〈略〉その勧賞に大僧正になされけるとぞ聞えし」
⑤ ある者が家督を相続し、家長としてその家を統率する期間。また一般に、事物を継承し、それを持ったりそこにいたりする年月の間。代(だい)。→世をゆずる世を渡す
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)旅立「草の戸も住替る代ぞひなの家」
[三] 仏説にいう過去(前世)・現在(現世)・未来(来世)の各々。また、仏法が行なわれる正法(しょうぼう)・像法(ぞうぼう)・末法(まっぽう)の三時期の各々。
※万葉(8C後)三・三四八「この代(よ)にし楽しくあらば来む生(よ)には虫に鳥にも吾れはなりなむ」
[四] 時節。季節。機会。おり。
※大和(947‐957頃)一六一「在中将〈略〉ただ人におはしましけるよに」
※狭衣物語(1069‐77頃か)二「かたがたに、乾くよなき御袖なめり」
[五]
① 個人が他の個人と密接にかかわりあって生きる場。世間。社会。世の中。また、その中での人間関係。また、そこにいる人。世間の人。
※蜻蛉(974頃)下「いみじうをこなることになん、世にもいひさわぐなる」
※読本・雨月物語(1776)貧福論「名将の聞えは世挙(こぞ)りて賞ずる所なり」
② 特に、出世間に対して、俗世間。凡俗の住む世界。俗世。浮世。→世を捨てる世をそむく
※古今(905‐914)雑下・九五六「世を捨てて山に入る人山にてもなほうき時はいづち行くらん〈凡河内躬恒〉」
③ 国土。国家。天下。また、世界。
※竹取(9C末‐10C初)「国王の仰せごとを、まさに世に住み給はん人の、承り給はでありなむや」
※徒然草(1331頃)一四二「世治らずして、凍餒の苦しみあらば」
④ 社会の動向。時勢。時流。→世に合う
※古今(905‐914)仮名序「きのふは栄えおごりて、時を失ひ、世にわび、親しかりしも疎くなり」
⑤ 世間一般。世間並み。世の常。→世に越ゆ世に無し世に知らず
※落窪(10C後)四「よの人の親は、もはら幸なきをなん、なからむ時にいかにせんとは思ふなる」
⑥ 世間の評価。噂(うわさ)。外聞。→世に聞こゆ
※紫式部日記(1010頃か)消息文「物づつみをし、いとよをはぢらひ、余り見苦しきまで児めい給へり」
⑦ 社会での境遇。特に、時運に恵まれ栄え時めくこと。権勢をもって君臨すること。また、その世界。
※伊勢物語(10C前)八七「わが世をばけふかあすかと待つかひの涙の滝といづれ高けん」
⑧ 世帯。また、それを維持していくこと。生計を立てること。生活。→世を送る
※宇治拾遺(1221頃)一二「世の過ぎがたければ、さりとてはとて、かくのごとく仕る也」
⑨ 男女の交情。情事。夫婦生活。→世を経(ふ)
※古今(905‐914)恋一・五一三「あさなあさな立つかはぎりのそらにのみうきて思ひのある世なりけり〈よみ人しらず〉」
[六] 人間の生活する周囲をとりまく環境。
① 社会を存在させる時間・空間のひろがり。また、四方の自然。世界。
※徒然草(1331頃)一〇七「女のなき世なりせば、衣紋も冠も、いかにもあれ、ひきつくろふ人も侍らじ」
※海潮音(1905)〈上田敏訳〉春の朝「揚雲雀なのりいで、蝸牛枝に這ひ、神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し」
② 稲作の豊凶の状態。稲の作柄。
※俳諧・おらが春(1819)「稲妻やひと切づつに世が直る」
[補注]「神皇正統記‐上」に、「代と世とは常の義差別なし。然ど凡の承運とまことの継体とを分別せん為に書分けたり。但、字書にもそのいはれなきにあらず。代は更の義也。世は周礼の註に、父死て立を世と云とあり」と注記し、「代」と「世」との字義を区別している。

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