世界気象監視計画(読み)セカイキショウカンシケイカク(英語表記)World Weather Watch Programme

デジタル大辞泉 「世界気象監視計画」の意味・読み・例文・類語

せかいきしょうかんし‐けいかく〔セカイキシヤウカンシケイクワク〕【世界気象監視計画】

世界気象機関WMO)が中心になり、気象衛星を利用して全世界気象状況を観測し、天気予報精度を高めるほか災害予防船舶航空機の安全運航に役立てようという計画。1963年に開始。

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改訂新版 世界大百科事典 「世界気象監視計画」の意味・わかりやすい解説

世界気象監視計画 (せかいきしょうかんしけいかく)
World Weather Watch Programme

世界気象機関(WMO)の中心的事業の一つで,国際協力によって地球上の気象状態とその変化を正しく監視していこうとするもの。通称WWW(ダブダブダブ)計画。基本計画は,気象観測,気象通信,気象資料処理の3本の柱から成り立っている。1961年に国際連合は,世界的な天気予報の精度向上のために決議を行い,国際協力による気象事業の改善をめざしてWWW計画を,技術開発と研究の推進をはかって地球大気開発計画(GARPガープ))を発足させた。以来,WWW計画は,各国の気象観測網の充実と観測精度の向上,気象資料の的確・迅速な伝送のための世界的な気象通信網の拡充,実況天気図と予想天気図の改善と広範囲の交換といった具体的な事業計画が立てられ,68年以来全球観測組織(GOS),全球通信組織(GTS),全球資料処理組織(GDPS)が設立・実施され,順次拡充されて今日にいたっている。最近の技術的進歩,特に人工衛星コンピューター,電気通信,数値予報といった分野の成果を積極的に導入し,発展途上国と先進国の格差解消をめざし,成果をあげている。WWW計画の整備にあたって,加盟国の役割分担が明確に規定されており,国際協力の実をあげようとしている。すなわち,世界的な規模のサービス(WMC。アメリカのワシントン,ロシアのモスクワ,南半球のみを対象にオーストラリアのメルボルンにある,それぞれの気象センター),地域的サービス(RMC。全世界で23の気象センターが指定されており,台風監視など特別任務を付加されているのをRSMCと呼ぶ。日本の気象庁本庁もRSMC Tokyoとして指定されている),一国単位のサービス(NMC。各国に一つずつ指定されており,日本の気象庁本庁もその一つ)が,有機的に運用されるよう努めている。そのため観測,通信,資料処理の各方面で手順,方式,規格を統一して共通性をもたせている。WWW計画が扱っている気象事業は,天気予報をはじめ航空気象サービス,船舶気象サービスなど各国の気象庁の主要業務を網羅している。この計画の進展によって,気象事業が世界的な規模で充実し,その水準が向上している。
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百科事典マイペディア 「世界気象監視計画」の意味・わかりやすい解説

世界気象監視計画【せかいきしょうかんしけいかく】

World Weather Watch Programmeの訳。略称WWW(ダブダブダブと読む)計画。1963年の世界気象会議以後始められた全地球的な気象観測計画。北半球ではワシントンとモスクワに,南半球ではメルボルンに置かれた世界気象中枢と,地区特別気象中枢,および国ごとの気象中枢で組織され,気象衛星,海洋など無人地帯の自動気象観測装置などを含めた全地球的な観測網,資料交換のための通信網を整備し,予報,警報の基礎となる解析資料を気象中枢から各国に供給するもの。
→関連項目地球大気開発計画地区特別気象中枢

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「世界気象監視計画」の意味・わかりやすい解説

世界気象監視計画
せかいきしょうかんしけいかく
World Weather Watch Program; WWW

世界気象機関 WMOが 1963年に開始した,全球規模での気象観測,データ収集・処理・解析・配信および蓄積のネットワークの構築。全世界の気象情報を即時的に提供すること,気象のデータセット(気温、湿度といったデータ一式)を集積することを目的とする。そのために,システムやデータ管理の技術指導,地上・海上・高層・衛星での気象観測のシステムや,全球データの処理・予測システムの整備,気象データ・成果物の管理,全球気象通信システムなどの効率的な統合調整,各国の気象機関が一般向けに提供する気象情報サービスの支援等を実施している。

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