中刳盤(読み)なかぐりばん

精選版 日本国語大辞典 「中刳盤」の意味・読み・例文・類語

なかぐり‐ばん【中刳盤】

〘名〙 中ぐり用の工作機械。縦型と横型がある。〔自動車読本(1947)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「中刳盤」の意味・わかりやすい解説

中刳盤 (なかぐりばん)
boring machine

すでに開けられている穴をさらに大きくして,精確寸法の穴に仕上げるための工作機械。工具回転しながら穴の軸心方向へ送るための中ぐり棒が用いられることが特徴で,工作物はテーブル,または床板上に固定して置き,工具を取り付けた中ぐり棒を軸心方向に送るか,またはテーブルを穴の軸心方向に送るかして加工を行う。中ぐり盤は旋盤とともにもっとも古くからある工作機械の一種であり,ワット蒸気機関の成功も,J.ウィルキンソンの中ぐり盤によってシリンダー精密加工が可能となったことに負うところが大きい。最近では中ぐり盤をベースにした多機能数値制御工作機械として,マシニングセンターが作られているが,中ぐり盤と異なり中ぐり棒が用いられていない。

(1)横中ぐり盤 図に示すように主軸が水平に設置された形式で,テーブル形,フロア床上)形,プレーナー形の3種類がある。テーブル形では,テーブル,または中ぐり棒が穴の軸心方向に送られるが,フロア形やプレーナー形では中ぐり棒だけが穴の軸心方向に送られる。中ぐり棒を長く突き出して使用するときは,その自重によるたわみを防止するため,主軸頭の反対側に中ぐり棒の先端を支えるアウターサポートを用いる。なお,横中ぐり盤では,中ぐり加工のほかに正面フライス加工,外丸削り,ねじ切加工,穴あけ加工などができる機構を備えているのがふつうである。また特殊工具を用いれば歯切加工もできる機種もあり,もっとも多機能な工作機械である。

(2)立て中ぐり盤 中ぐり主軸が垂直に設置されている形式で,中ぐり棒の自重によるたわみが生じない。構造としては,2本のコラムに支えられた横桁上に主軸頭を取り付けた門形と1本のコラムに主軸頭を取り付けた片持形がある。

(3)ジグ中ぐり盤 横中ぐり盤や立て中ぐり盤に比べ,穴の位置と寸法をより高精度に加工できる構造になっている。主軸はほとんど垂直形で,テーブルの位置決めは親ねじ式,棒ゲージ式,光学式,電気式などにより行われる。ドリル加工も行えるが,テーブルの位置決め精度が高いため,あらかじめ穴の位置を罫書(けが)いておく必要がない。また最近では軽フライス加工が行える機種もある。

(4)精密中ぐり盤 初めはダイヤモンドバイトを用いて軸受などの非鉄金属の穴を能率的に精密仕上げするのに用いられたが,その後超硬工具の発達により,種々の精密加工に用いられる。この機種の特徴は,主軸の回転が高速で,微細送りができる点である。なお,中ぐり加工のほかに,外丸削りや面削りができるようになっている機種が多い。
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世界大百科事典(旧版)内の中刳盤の言及

【工作機械】より

…鉄,アルミニウム,プラスチックなど各種の工業用材料を,その素材,または半素材の状態から,必要な形状と寸法,精度および表面品位をもつ部品に加工する機械。ただし,現在では木材や石材を加工するものを除くのがふつうである。〈近代工業国家とは,工作機械と兵器を自製できる国〉とまでいわれるように,近代工業国の基盤として重要な機械であり,各種の機械,電気機器,化学装置などを構成する部品を作ることから〈機械を作る機械〉,あるいは〈母なる機械〉ともいわれる。…

※「中刳盤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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