中川李枝子(読み)ナカガワリエコ

デジタル大辞泉 「中川李枝子」の意味・読み・例文・類語

なかがわ‐りえこ〔なかがは‐〕【中川李枝子】

[1935~ ]児童文学作家。北海道の生まれ。保育園勤務のかたわら童話執筆、「いやいやえん」で野間児童文芸推奨作品賞・厚生大臣賞などを受賞。2匹の野ネズミを主人公にした「ぐりとぐら」シリーズはロングセラーとなる。他に「そらいろのたね」「ももいろのきりん」「子犬のロクがやってきた」など。「ぐりとぐら」などの挿画を手がけた山脇百合子実妹

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中川李枝子」の意味・わかりやすい解説

中川李枝子
なかがわりえこ
(1935― )

児童文学作家。札幌市生まれ。都立高等保母学院卒業。保育園に勤めるかたわら童話を書き、1962年(昭和37)保育園の子らに触発されて『いやいやえん』を出版して野間児童文芸賞推奨作品賞、厚生大臣賞、NHK児童文学奨励賞などを受ける。幼児の日常感覚を踏まえたこの作品はベストセラーとして読み継がれ、幼年童話に新風を送る。以来幼年向きの童話を書き続ける。おもな作品に『ぐりとぐら』(1963)、『そらいろのたね』(1964)、『ももいろのきりん』(1965)、『たんたのたんてい』(1975)、『森のおばけ』(1978)などがある。2匹の野ねずみ『ぐりとぐら』はその後シリーズとなり、2002年(平成14)発行の『ぐりとぐらのおおそうじ』で9作となった。『ぐりとぐら』は100刷を超え、シリーズ全体では発行部数1000万部を超えるロングセラーとなっている。その後の作品に、『小犬のロクがやってきた』(1979。毎日出版文化賞)、『けんた・うさぎ』(1986)、『なぞなぞえほん』1~3(1988)、エッセイ集『本・子ども・絵本』(1982)、『絵本と私』(1996)など。また、宮崎駿(はやお)監督アニメーション映画『となりのトトロ』のオープニングテーマ「さんぽ」の作詞も担当した。

西本鶏介

『『いやいやえん』(1962・福音館書店)』『『ぐりとぐら』『ぐりとぐらのおきゃくさま』『ぐりとぐらのかいすいよく』『ぐりとぐらのえんそく』『ぐりとぐらとくるりくら』『ぐりとぐらの1ねんかん』『ぐりとぐらとすみれちゃん』『ぐりとぐらのあいうえお』『ぐりとぐらのおおそうじ』(1963~2002・福音館書店)』『『ももいろのきりん』(1965・福音館書店)』『『たんたのたんけん』(1971・学習研究社)』『『たんたのたんてい』(1975・学習研究社)』『『小犬のロクがやってきた』(1979・岩波書店)』『『そらいろのたね』(1982・福音館書店)』『『本・子ども・絵本』(1982・大和書房)』『『けんた・うさぎ』(1986・のら書店)』『『なぞなぞえほん』1~3(1988・福音館書店)』『『絵本と私』(1996・福音館書店)』『中川志郎・中川李枝子著『対談 素晴らしき動物たち――思いやりのある子を育てるために』(1985・フレーベル館)』『中川李枝子・詩、宮崎駿・絵『となりのトトロ』(1988・徳間書店)』『萬屋秀雄著『現代読書教育を拓く――児童文学との統合をめざして』(1986・教育出版センター)』『萬屋秀雄著『現代児童文学の展開――現代児童文学作家論2』(1986・大阪教育図書)』『神宮輝夫著『現代児童文学作家対談3 角野栄子・立原えりか・中川李枝子』(1988・偕成社)』『森上史郎ほか著『森上史郎対談集 人間・子ども・保育』(1988・フレーベル館)』『岡田純也著『子どもの本の魅力――宮沢賢治から安房直子まで』(1992・KTC中央出版)』『山内祥史著『日本現代文学考』(2001・双文社出版)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中川李枝子」の解説

中川李枝子 なかがわ-りえこ

1935- 昭和後期-平成時代の児童文学作家。
昭和10年9月29日生まれ。保育園につとめながら童話をかく。「いやいやえん」に幼児の心理と行動を奔放な想像力でえがき,昭和38年野間児童文芸推奨作品賞などをうける。55年「子犬のロクがやってきた」で毎日出版文化賞。ほかに妹の山脇百合子とくんだ絵本「ぐりとぐら」シリーズなど。平成25年山脇百合子とともに菊池寛賞。北海道出身。都立高等保母学院卒。旧姓大村

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世界大百科事典(旧版)内の中川李枝子の言及

【児童文学】より

… そうしたなかで,当時文学的にも社会的にも無名だった若い世代は,模索の手を未明の伝統という聖域へ伸ばし,53年の早大童話会による〈少年文学宣言〉を皮切りに,未明の伝統への否定的克服の道を歩みはじめた。60年,外国児童文学の洗礼を受けた石井桃子,瀬田貞二,渡辺茂男らのグループが《子どもと文学》を刊行したことでその動きはさらに強まり,57年,いぬいとみこの長編幼年童話《ながいながいペンギンの話》を筆頭に,神沢利子,佐藤さとる,中川李枝子,古田足日,松谷みよ子,山中恒らの新人作家がそれぞれの処女作をひっさげて登場,60年を越えた時点で日本の児童文学地図は完全に塗りかえられるに至った。以来今日まで,翻訳や評論・研究の分野を含め,また読書運動など普及の面も含めて児童文学は盛況の一途をたどっている。…

※「中川李枝子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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