朝日日本歴史人物事典 「中村蘭台(初代)」の解説
中村蘭台(初代)
生年:安政3(1856)
明治の篆刻家。中村氏を名乗るが本姓は不詳。名は稲吉。蘭台,蘇香,香草居主人などと号す。会津若松(福島県)の人という。はじめ篆刻を高田緑雲に学んだが,のちに清の徐三庚の書と印に傾倒して刻風が一変,さらに諸家の風を取り入れて独自の風格を作った。特に木印を好み,その独特の刀法には冴えがある。木印の頂や側面に種々の意匠を刻したり,木額,衝立,香筒,盆など木を素材とする工芸品に文字意匠を配するなど,新しい作品分野を開いた。印譜に『蘭台印集』正・続・三集などがある。
(北川博邦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報