中村 芝翫(4代目)(読み)ナカムラ シカン

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「中村 芝翫(4代目)」の解説

中村 芝翫(4代目)
ナカムラ シカン


職業
歌舞伎俳優

別名
幼名=玉太郎,初名=中村 駒三郎,前名=中村 福助(初代),俳名=鶴成,児雀,芝童

屋号
成駒屋

生年月日
文政13年 3月3日

出生地
大坂(大阪府)

経歴
歌舞伎俳優・中村富十郎の門人であった中村富四郎の長男として生まれる。少年時代は中村玉三郎を名乗り、舞踊修業を重ねた。天保9年(1838年)4代目中村歌右衛門の養子となり、駒三郎・政之助を経て初代中村福助に改名し、江戸で活動。嘉永2年(1849年)養父とともに帰阪するが、のち養家と不和になり、江戸に戻った。万延1年(1860年)には4代目芝翫を襲名。次いで、文久3年(1863年)には守田座座頭となった。維新後も、阪東彦三郎と並び、9代目市川団十郎や5代目尾上菊五郎らの先輩格として重んじられ、東西の舞台で活躍。背が低く、音調も金切り声という短所はあったが、すぐれた目鼻立ちに舞台映えする風姿・口跡を持ち、所作事を最も得意とした。加えて、女形・立役・実悪をこなす芸域の広さと、芝翫型と呼ばれる演出をはじめとする古風な様式美を併せ持ち、“江戸歌舞伎最後の名優”“大芝翫”と称される。また、寡欲恬淡で無邪気な人柄は芸の上にも現れており、多くの人々に愛された。「一谷嫩軍記」の熊谷、「菅原伝授手習鑑」の松王、「双蝶々」の濡髪などが当たり役。

没年月日
明治32年 1月16日 (1899年)

家族
養父=中村 歌右衛門(4代目)(歌舞伎俳優),弟=中村 福助(2代目)(歌舞伎俳優),養子=中村 歌右衛門(5代目)(歌舞伎俳優)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

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