中華まんじゅう(読み)ちゅうかまんじゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中華まんじゅう」の意味・わかりやすい解説

中華まんじゅう
ちゅうかまんじゅう

饅頭(マントウ)のことで、小麦粉を温湯でこねて発酵させてつくる。中国の華北ではほとんどの主食が小麦粉でつくられていたという。漢の時代には人々はすでに自然発酵の利用を知っており、この技術をつかった饅頭つくりも三国時代からあったものと思われる。名称も漢では蒸餅(チョンピン)、晋(しん)では曼頭(マントウ)、唐は籠餅(ロンピン)、五代は炉餅(ルーピン)、と称したという。本来は中身の入らないふかしまんじゅうのことで、小麦粉の自然発酵によってできたたね(醗麺(フアーミエン))をすこしずつ残し、何年でもこれによってつくった。現在では市販のイーストを用いて小麦粉を発酵膨張させてつくることが多い。

[野村万千代]

饅頭の種類

(1)包子(パオツ) 豚肉を細かく切り、これにエビ肉や少量のタマネギごま油しょうゆなどを加えて中身とし、饅頭の生地(きじ)で円形に包んで蒸し上げたもの。天津包子(てんしんパオツ)が有名である。パオツは宴会席のご飯がわりや、またとくに朝食のときに供する。形をいろいろに変化させるとおもしろい。(2)豆沙饅頭(トウシャーマントウ) 小豆餡(あずきあん)に豚の脂身黒ゴマなどを加えて練り上げたものを中身としたまんじゅう。

[野村万千代]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の中華まんじゅうの言及

【パオズ(包子)】より

ギョーザと似ているが,ギョーザは煮,焼,蒸など加熱法が多様であるのに対し,包子は蒸すだけであり,またギョーザの皮にはイーストは用いない。日本では中華まんじゅうと呼びならわしているが,中国の〈饅頭(マントウ)〉は具の入らない蒸しパンである。《中文大辞典》では,北方の人は,餡の入った饅頭を包子という,と説明している。…

【マントウ(饅頭)】より

…肉や野菜などの具は入れず,肉あん,アズキあんなどの入ったものは包子(パオズ)と呼ぶ。日本でいう中華まんじゅうは包子のことである。小麦生地にアルカリを加えると,生地は淡黄色に変色し,特有の芳香を発する。…

※「中華まんじゅう」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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