主系列星(読み)シュケイレツセイ

デジタル大辞泉 「主系列星」の意味・読み・例文・類語

しゅけいれつ‐せい【主系列星】

ヘルツシュプルング‐ラッセル図HR図)で、左上から右下へかけて帯状に分布する星の集合主系列といい、主系列にある個々の星をいう。最も普通の恒星で、太陽シリウスなどはこれに属する。矮星わいせい。→矮星

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「主系列星」の意味・わかりやすい解説

主系列星
しゅけいれつせい

中心部で水素ヘリウムに融合される核反応がおこっている段階の恒星のこと。星間ガスから生まれたばかりの星(原始星)は、まず重力収縮し、中心部の温度が1000万Kを超えると水素の核融合が始まる。この核エネルギーの発生率と星の表面からの光によるエネルギー放出率とがほぼ等しくなると重力収縮は止まり、主系列星の段階に落ち着く。星は中心部の水素が消費されてしまうまでの間、その一生の約90%を主系列星として過ごす。太陽もこの段階にあり、その主系列星としての寿命は約100億年と推定されている。主系列星のなかでは、質量が大きい星ほど光度も表面温度も高い。そのためHR図上に並べると、高光度・高温度から低光度・低温度へ帯状の系列をつくる。この系列が主系列とよばれている。

野本憲一

『野本陽代著『星は生きている――星の誕生からブラックホールまで』(1987・筑摩書房)』『斉尾英行著『星の進化』(1992・培風館)』『高原文郎著『宇宙物理学』(1999・朝倉書店)』『尾崎洋二著『星はなぜ輝くのか』(2002・朝日選書)』『野本陽代著『超新星1987Aに挑む――壮烈な星の最期をさぐる』(ブルーバックス)』


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百科事典マイペディア 「主系列星」の意味・わかりやすい解説

主系列星【しゅけいれつせい】

ヘルツシュプルング=ラッセル図(HR図)上で左上から右下へ対角線状に分布する恒星。そのうち半径が太陽程度かそれ以下で,スペクトル型のF〜Gより低温の恒星を,巨星と区別して矮星(わいせい)という。主系列星のエネルギー源は原子核融合反応により供給され,太陽より大きい星では炭素窒素を触媒として4個の陽子からヘリウムができるCNOサイクル,太陽より小さい星では触媒なしで4個の陽子がヘリウムに変換するpp反応が主力である。太陽程度の恒星はこの反応により水素を消費しながら次第に大きくなり,HR図上を右上へ移動し巨星になる。水素を消費し尽くすとさらにヘリウムの融合が起こって次第に温度が上がり,HR図上を左へ進み,融合する元素が尽きると収縮しながら白色矮星で終わる。この間約100億年と考えられる。太陽よりずっと大きい恒星は白色矮星になる前に超新星として爆発する。
→関連項目核融合種族(恒星)矮星

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改訂新版 世界大百科事典 「主系列星」の意味・わかりやすい解説

主系列星 (しゅけいれつせい)
main sequence star

ヘルツシュプルング=ラッセル図で絶対等級0等のあたりに水平に分布する星の集合を巨星列,左上から右下に分布する星の集合を主系列,そして主系列にある個々の星を主系列星という。星のスペクトル型は表面温度だけで決まり,同じスペクトル型の星に巨星,主系列星の別があるのは主系列星の半径が小さいことを示し,矮星(わいせい)とも呼ばれる。太陽はG型主系列星,ベガはA型主系列星の例である。主系列星では中心で水素が燃えており,表面温度や半径は星の質量だけで決まる。B型主系列星の質量は太陽の約6倍,半径は太陽の約4倍,一方,M型主系列星の質量,半径はそれぞれ太陽の約0.4倍と0.5倍である。星は星間ガスから生まれ,主系列星として星の一生の大部分のときを過ごす。中心部に水素の熱核反応生成物であるヘリウムがたまりだすと,星は主系列星から巨星に向かって進化する。
恒星
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知恵蔵 「主系列星」の解説

主系列星

HR図上、左上から右下に延びる帯状領域に多くの星が集中して分布する。これが主系列で、そこに分布する星が主系列星。太陽など、大部分の恒星が属す。中心部の水素の核融合反応のエネルギーで輝く。主系列上の位置は主に恒星の質量で決まり、同時に、星本来の明るさである絶対光度、表面温度、スペクトル型が決まる。恒星は一生の大半を主系列で過ごすので、主系列にある時間がほぼ星の寿命となる。寿命は、質量が大きいほど短い。

(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)

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