九州電力(株)(読み)きゅうしゅうでんりょく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「九州電力(株)」の意味・わかりやすい解説

九州電力(株)
きゅうしゅうでんりょく

業界第4位の民間電力会社。供給区域は九州7県で、1951年(昭和26)電気事業再編成の一環として、沖縄を除く旧九州配電の供給区域を継承して設立された。他の電力会社とは異なり、設立時から火力発電所出力水力発電所の出力を上回っていたが、これは、産炭地に立地していることを反映したものであった。一方、産炭地立地であったため、火力発電用燃料の石炭から石油への転換は遅れ、油主炭従化は1970年度までずれ込んだ。九州電力は、1967年に9電力会社初の地熱発電所である大岳(おおたけ)発電所の運転を開始した。原子力開発にも力を入れ、1975年に佐賀県松浦郡で玄海(げんかい)原子力発電所、1984年に鹿児島県で川内(せんだい)原子力発電所を、それぞれ運転開始した。資本金2373億円(2008)、売上高1兆3921億円(2008)。販売電力量881億キロワット時(2007年度)。玄海原子力、新小倉火力など、多数の発電所をもつ。現在、プルサーマル発電を行う準備を進めているが、このプルサーマル発電とは、原子力発電の使用済み燃料から回収したプルトニウムウランとを混合したMOX燃料(Mixed Oxide=混合酸化物燃料)を、一般的な原子力発電所で再利用することである。九州電力は、離島での電力供給の安定化に一貫して取り組んでおり、2005年(平成17)には、長崎県の松島変電所五島(ごとう)列島奈良尾(ならお)変電所とを結ぶ交流の海底送電線を運転開始した。

[橘川武郎]

『九州電力株式会社編・刊『九州電力50年史』(2001)』『橘川武郎著『日本電力業発展のダイナミズム』(2004・名古屋大学出版会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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