二心・弐心(読み)にしん

精選版 日本国語大辞典 「二心・弐心」の意味・読み・例文・類語

に‐しん【二心・弐心】

〘名〙
① 心を二つ持つこと。相反する心をいだくこと。また、敵対したり、うらぎり、そむこうとする心をもつこと。じしん
田氏家集(892頃)下「方寸半分置、趨朝恐作弐心臣」 〔書経‐康王之誥〕
② うたがい。疑心
舞姫(1906)〈与謝野晶子〉「君に似しさなりかしこき二心(ニシン)こそ月を生みけめ日をつくりけめ」

ふた‐ごころ【二心・弐心】

〘名〙
同時に相反する二通りの心を持つこと。あだしごころ。うわきごころ。にしん。
書紀(720)欽明二年四月(寛文版訓)「其の卓淳は上下携(はな)れ弐(フタココロ)あり。主自ら附(したか)はむと欲す」
味方君主にそむく心。裏切ろうとする心。謀反心。逆心。にしん。
※続日本紀‐神護景雲三年(769)一〇月一日・宣命「継ては朕子太子に明に浄く二心(ふたごころ)無して奉侍れ」

じ‐しん【二心・弐心】

〘名〙 むほんをたくらむ心。不忠な心。ふたごころ。弐志(じし)。にしん。
本朝無題詩(1162‐64頃)四・春三首〈藤原忠通〉「遍仕南無三世聖、恐為北闕弐心臣

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