井上流(読み)イノウエリュウ

デジタル大辞泉 「井上流」の意味・読み・例文・類語

いのうえ‐りゅう〔ゐのうへリウ〕【井上流】

日本舞踊京舞流派の一。女舞で、江戸末期に初世井上八千代が創始京都祇園勢力をもつ。

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精選版 日本国語大辞典 「井上流」の意味・読み・例文・類語

いのうえ‐りゅう ゐのうへリウ【井上流】

〘名〙
① 古砲術の一流派。慶長・元和(一五九六‐一六二四)の頃、播磨国の人、井上外記正継が始めたもの。外記流(げきりゅう)
※国朝砲熕権輿録(1855)「古今火術の諸流〈略〉井上外記正継より出し流派は、井上流と称し」
② 日本舞踊の京舞の一流派。江戸末期、初世井上八千代が創始。二世・三世ともに能楽文楽の影響をうけ、三世は都踊りをはじめた。女性だけの舞。京都祇園に勢力を持つ。座敷舞。風流舞。

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改訂新版 世界大百科事典 「井上流」の意味・わかりやすい解説

井上流 (いのうえりゅう)

京舞の一流派。江戸末期に井上さとが初世井上八千代として創流。近衛家で身につけた御殿舞などの宮廷文化を基盤典雅な舞を作り上げた。2世,3世と,金剛流観世流の能の影響を受けたが,歌舞伎人形浄瑠璃長所も取り入れ,〈人形振り〉の型を井上流のものにした。3世の時代に祇園町の舞の師匠となり,1872年(明治5)〈都をどり〉を起こした。品位の高さ,芸格のたくましさが特徴である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「井上流」の意味・わかりやすい解説

井上流
いのうえりゅう

日本舞踊の一流派。京都に興った上方舞,京舞の一つ。流祖は1世井上八千代。2世八千代は能の型を取入れ本行舞 (ほんぎょうまい) や人形振りの型を創始し,3世八千代が完成した。曲は地歌ばかりでなく,長唄義太夫,常磐津清元も用い,歌舞伎や人形浄瑠璃の長所もとる。女性のみの流派である。

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デジタル大辞泉プラス 「井上流」の解説

井上流

日本舞踊の流派のひとつ。上方舞。江戸時代、寛政年間に、井上サト(初代井上八千代)が京都で創流。3代八千代(本名:片山春子)は「都おどり」の創始に関わり、井上流の発展に貢献した。京舞井上流ともする。

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世界大百科事典(旧版)内の井上流の言及

【井上八千代】より

京舞井上流の家元。(1)初世(1767‐1854∥明和4‐安政1) 本名井上さと。…

【京舞】より

…上方の舞は,朝廷に仕えた公家の女官などが手すさびにたしなんだ御殿舞から派生した舞と,大坂の歌舞伎から派生し,町師匠によって広められた座敷舞とがあり,京舞は前者の系統。幕末から明治初年にかけて,京の舞は篠塚流が盛んであったが,実力をそなえた統率者がおらずしだいに衰微し,明治に入って3世井上八千代の率いる井上流が隆盛を迎えて以来,京都はえぬきの流派は井上流だけとなった。したがって現在京舞といえば井上流の舞を指す。…

【日本舞踊】より

…さらに新舞踊からも新流派はあり,藤蔭流,五条流,林きむ子(1886‐1967)の林流,西崎緑の西崎流がある。上方舞では篠塚文三郎(?‐1845)を祖とする篠塚流,井上八千代の井上流,山村友五郎による山村流,楳茂都(うめもと)扇性の楳茂都流,吉村ふじ(?‐1909)の吉村流等がある。歌舞伎舞踊【菊池 明】。…

※「井上流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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