亜セレン酸(塩)(読み)アセレンサン

化学辞典 第2版 「亜セレン酸(塩)」の解説

亜セレン酸(塩)
アセレンサン
selenious acid(selenite)

酸:H2SeO3(128.98).二酸化セレン熱水に溶解し,これを濃縮放冷すると得られる.斜方晶系.三方すい型のSeO3が層状に並び,その間をHが水素結合で結んでいる.Se-O 1.72~1.76 Å,H-O…H2.5~2.6 Å.∠O-Se-O約100°.無色結晶.密度3.00 g cm-3.加熱すると脱水してSeO2となる.水に易溶.水溶液は弱酸性を示す(K1 2.4×10-3K2 4.8×10-9).酸化剤(オゾン,過酸化水素,フッ素など)でセレン(Ⅵ)酸に酸化され,還元剤(硫化水素,二酸化硫黄,ヒドラジン,ヒドロキシルアミンなど)でセレンに還元される.アルカロイドアセチレンフェノールなどと鋭敏な呈色反応を示すので,これらの分析試薬に用いられる.有毒.[CAS 7783-00-8] 
塩:M2SeO3.このほかにM2(O2SeOSeO2)型の縮合体,また,MHSeO3型,M H3(SeO3)2型の酸性塩がある.アルカリ金属塩は水酸化物または炭酸塩と亜セレン酸との反応で得られる.ほかの金属塩はアルカリ金属塩とほかの金属塩との複分解で得られる.Na2SeO3・5H2Oは水に易溶の白色固体で,水溶液は弱アルカリ性を示す.固体を加熱すると容易に水を失って無水物になる.ガラスを侵す.ガラスや磁器の装飾的加工細菌学試薬(細菌の選択的増菌培地)などに用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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