人間貧困指数(読み)にんげんひんこんしすう(英語表記)Human Poverty Index

知恵蔵 「人間貧困指数」の解説

人間貧困指数

人口に占める貧困層割合を示すための指数数値が大きい程、当該国の貧困度が高くなる。1997年以降、国連開発計画(UNDP)が毎年公表している。発展途上国に関しては、(1)生存指標(40歳までに死亡が予想される人口の総人口に占める比率)、(2)教育指標(成人識字率)、及び(3)生活水準指標(安全な飲料水を入手できない人口の比率、保健サービスを受けられない人口の比率、5歳以下乳幼児における低体重人口の比率)、また先進工業国に関しては、(1)生存指標(60歳までに死亡が予想される人口の比率)、(2)教育指標(成人識字率)、(3)生活水準指標(中位所得水準の半額以下の所得に留まっている人口の比率)、及び(4)雇用指標(1年以上の長期失業率)を指数化して算出する。貧困概念を基本的人間ニーズ(BHN)の観点から捉え直している点に特徴がある。

(室井義雄 専修大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人間貧困指数」の意味・わかりやすい解説

人間貧困指数
にんげんひんこんしすう
Human Poverty Index; HPI

国連開発計画 (UNDP) が 1997年年次報告書から打出した各国国民の貧困の尺度となる指標。単なる所得ランキングではなく,耐えうる生活をおくるために必要な選択や機会を否認されている度合いを計量化しようとしたもの。 40歳未満での死亡率,成人の非識字率,安全な水の確保しやすさや保健サービスの受けやすさなど人間らしい生活の普及度,の3点ではかられる。これによると,貧困が最も深刻な地域南アジアで,サハラ砂漠以南のアフリカでも急速に拡大している。

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