仁淀川(町)(読み)によどがわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「仁淀川(町)」の意味・わかりやすい解説

仁淀川(町)
によどがわ

高知県北西部、吾川(あがわ)郡にある町。2005年(平成17)、吾川郡池川町(いけがわちょう)、吾川村、高岡(たかおか)郡仁淀村が合併して成立。北部から西部にかけて1000メートルを超す四国山地の山々に囲まれた山間の地で、仁淀川が中央を東流する。仁淀川には池川川、長者川、中津川などの支流が流れ込む。仁淀川に沿って国道33号、また北東から南西に439号が走り、439号からは494号が分岐する。約90%が林野で占められる山村で、農用地は2.7%、住宅地は0.4%にすぎず(2010)、過疎化が著しい。安居(やすい)川と土居(どい)川の合流点から下流の池川川一帯の池川は、近世には伊予松山城下に通じる松山街道の宿駅で、土佐藩の番所が置かれていた。池川の北西方、愛媛県境に近い椿山(つばきやま)はヒノキなど良材の産地で土佐藩の留山であった。焼畑農業が昭和後期まで残り、平家集落の伝承もある。

 かつては焼畑農業が行われ、コウゾミツマタの栽培、和紙の製造が盛んであった。現在は林業のほかに、県下有数の生産高を誇る茶、コンニャクイモ、トマト、山菜などを産し、木工品の製造も行われている。

 安居川上流の安居渓谷と中津川の中津渓谷は、それぞれ県立自然公園に指定されており、ともに紅葉の名所として知られる。また、津野町との境の引割(ひきわり)峠にある大亀裂は、大引割・小引割とよばれ、国の天然記念物。南西部は四国カルスト県立自然公園に含まれる。仁淀川本流の大渡(おおど)ダムの周辺は公園として整備されている。池川神楽(かぐら)と名野川磐門(なのがわいわと)神楽(名野川岩戸神楽)は国指定重要無形民俗文化財の「土佐の神楽」の一つ。秋葉(あきば)神社の「秋葉祭の芸能」は国の選択無形民俗文化財に指定されている。そのほか「狩山(かりやま)障子紙」「土佐清帳紙(せいちょうし)」の和紙製造技術が県保護無形文化財となっている。面積333.00平方キロメートル、人口4827(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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