仙人・僊人(読み)せんにん

精選版 日本国語大辞典 「仙人・僊人」の意味・読み・例文・類語

せん‐にん【仙人・僊人】

〘名〙
① 道家の理想とした想像上の人物。人間界をはなれて山中にすみ、不老不死の法を修め、神変自在の術を体得したものとする。仙客(せんかく)。やまびと。仙者。仙。⇔煙火中人
万葉(8C後)九・一六八二・題詞「献忍壁皇子歌一首〈詠仙人〉」 〔史記‐封禅書〕
② (ṛṣi の訳語) 仏語。外道(げどう)の修行者で、世俗と交わりを断って山中にはいり、諸道の法を修めてさとりをえた者。五神通など、神変自在の術を行なうことができる。
源氏(1001‐14頃)若菜上「かの入道の、今は仙人の、世にも住まぬやうにてゐたなるを聞き給ふも」 〔過去現在因果経‐一〕
③ 通人。粋人。
※洒落本・南遊記(1800)三「かう言や仙人(センニン)のやうなれども世間の人は」
④ 博識ぶる人。物知り顔する人。
※新板何によらず人の名の付物角力(1818‐30頃か)「ものしりの 仙人」
⑤ 無欲で世俗にうとい人を嘲笑気持をこめていった語。
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉九「若し情欲を蝉脱して、皆仙人(センニン)となりたらんには」
一分金(いちぶきん)をしゃれていった語。一分金が長方形であるので一角(いっかく)というところから、「一角仙人」に掛けたもの。
浮世草子・傾城新色三味線(1718)六「揚銭仙人(センニン)に極めての昼夜あそび」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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