仰られる(読み)おおせられる

精選版 日本国語大辞典 「仰られる」の意味・読み・例文・類語

おおせ‐ら・れる おほせ‥【仰られる】

〘他ラ下一〙 おほせら・る 〘他ラ下二〙 (「おおす(仰)」に、受身・尊敬助動詞「られる(らる)」の付いたもので、本来は連語) 命ぜられる立場の者を主にした受身の意から、上位者が「お命じになる」意が生じ、さらに、命令の意が薄くなって「おっしゃる」の意にも移ったものか。
① 「命ずる」の尊敬語。命ぜられる。お命じになる。中には「(下位者が上位者から)命令される」の意を持つと考えられそうな場合もある。
古今(905‐914)仮名序「大内記紀友則〈略〉右衛門の府生壬生忠岑らにおほせられて、万葉集に入らぬ古き歌、みづからのをも奉らしめ給ひてなん」
※虎明本狂言・鍋八撥(室町末‐近世初)「おのおのあさなべの御用ならば、こなたへおほせられいや」
② 「言う」の尊敬語。おっしゃる。下位者に対し、ことばをおかけになる、という気持が強い。
落窪(10C後)一「いで、あなけしからずや。などかくはおほせらるる」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二「細君は縮緬(ちりめん)紋付で『いやな猫ねえ』と仰せられる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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