任・委(読み)まかせる

精選版 日本国語大辞典 「任・委」の意味・読み・例文・類語

まか・せる【任・委】

〘他サ下一〙 まか・す 〘他サ下二〙
① 事の処置などを他のものにゆだねて、自由にさせる。相手の思うままにさせる。
書紀(720)神代下(鴨脚本訓)「吾が高天原に所御(きこしめ)す斎庭(ゆには)の穂(いなほ)を以て、亦吾が児に当御(マカセ)まつるべし」
② そのものの本来のなりゆきのままにする。自然の勢いのままにする。多く「足にまかせて」「筆にまかせて」など、人の行為をいうのに用い、その行為がその人の意志であるよりも他のものの力によってなされている、といった感じを表わす時に用いる。
※竹取(9C末‐10C初)「船のゆくにまかせて海にただよひて」
③ 下襲(したがさね)の裾(きょ)などをうしろに流れ引くままにする。
※枕(10C終)一一「よろこび奏するこそをかしけれ。うしろをまかせて、御前のかたにむかひてたてるを、拝し舞踏しさわぐよ」
④ 他のものに従ってこちらの態度や行動を決める。他の動きに応じて事を行なう。
源氏(1001‐14頃)乙女「憚る所なく、例あらむにまかせて、なだむることなく、きびしう行へ」
⑤ 心のままにする。自由にする。多く打消の語を伴って「思うようにならない」の意に用いる。
随筆独寝(1724頃)下「さありとてまかせぬ世の中」
⑥ (「こちらに任せる」の意から) 引き受ける。合点する。承知する。まかす。
仮名草子竹斎(1621‐23)下「睨の介は見るよりも、『まかせたり』と言ふままに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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