伸上(読み)のしあがる

精選版 日本国語大辞典 「伸上」の意味・読み・例文・類語

のし‐あが・る【伸上】

〘自ラ五(四)〙
① 人の弱みにつけこんでいばる。つけあがる。
浄瑠璃淀鯉出世滝徳(1709頃)上「旦那身代からにして今のやうな雑言。のしあがった面見れば火に入ことも思はれぬと涙を流すぞ道理なる」
② のさばって上へあがる。横柄にかまえて上へあがる。
※浄瑠璃・心中万年草(1710)中「蒲団にのしあがり、ヤア誰ぞ寝たやら暖かな」
③ 他をおさえて地位が次第にのぼる。身代が次第にゆたかになる。
歌舞伎傾城飯綱八文字(1758)大切「もし出世でもしたら仲間への付届、分前取ふと思ふて来た。のらのらとのし上って、旨い目に逢ふな」
④ 氷が厚く重なって持ち上がる。

のし‐あ・げる【伸上】

〘他ガ下一〙 のしあ・ぐ 〘他ガ下二〙
① 上に伸ばす。
※銀の匙(1913‐15)〈中勘助〉前「鵞鳥が〈略〉恵比寿様の冠みたいな頭をのしあげてがわがわ追ってくる」
② 他をおさえて地位を進ませる。身代をゆたかにさせる。
家族会議(1935)〈横光利一〉「文七素人のやうに買ひで儲ける。買ひ一方で一途にのしあげて来たのであるから」
③ さんざんになぐりつけることをいう俗語

のび‐あが・る【伸上】

〘自ラ五(四)〙
① 爪先立ったり背を伸ばしたりして、体を高くする。背伸びをする。
大鏡(12C前)六「おほかりし人のなかより、のびあがりみたてまつりて」
上体を伸ばして、得意そうな様子をする。
今昔(1120頃か)二四「喜て、事々しく延び騰(あが)りつつ申ければ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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