佐分利 信(読み)サブリ シン

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「佐分利 信」の解説

佐分利 信
サブリ シン


職業
映画俳優 映画監督

本名
石崎 由雄(イシザキ ヨシオ)

別名
芸名=島津

生年月日
明治42年 2月12日

出生地
北海道 空知郡歌志内村(歌志内市)

学歴
正則英語学校〔大正15年〕卒,日本俳優学校卒

経歴
教師を目指し、15歳の時に上京して正則英語学校に学ぶ。のち帰郷して代用教員となるが長く続かず、神戸で婦人新聞発行を計画したが失敗。職を転々とするうちに映画関係の仕事を志すようになり、昭和4年日本俳優学校に入学。同校卒業後、先輩の小杉勇八木保太郎を頼って京都に赴き、5年日活に入社して島津元の芸名で俳優となった。6年内田吐夢監督「日本嬢」に脇役として出演し、銀幕デビュー。続いて同年の熊谷久虎監督「動員令」では主役に抜擢され、それまでの俳優にない朴訥な演技が注目された。8年同社を退社し、大阪劇団を経て、10年松竹移籍。このとき、同社には大監督である島津保次郎がいたため、画家・佐分信と怪死した外交官・佐分利貞夫とにちなみ、佐分利信に改名した。以後、五所平之助監督「人生のお荷物」「朧夜の女」、清水宏監督「感情山脈」、島津監督「家族会議」「男性体女性」「兄とその妹」、野村浩将監督「人妻椿」「男の償ひ」、佐々木啓祐監督「荒城の月」などでいぶし銀のような渋い持ち味の二枚目を演じて人気を集めた。さらに11年に五所監督の「新道」で上原謙佐野周二と共演してからは、彼等とともに“松竹三羽ガラス”として売り出され、再び3人が揃い踏みした同年の島津監督作品「婚約三羽烏」が大ヒットするなど、戦前の松竹における看板スターとなった。戦時中には吉村公三郎監督「暖流」や小津安二郎監督「戸田家の兄妹」、島津監督「日常の戦い」などで充実した演技を見せ、戦後も大庭秀雄監督「帰郷」、渋谷実監督「自由学校」、小津監督「お茶漬の味」「彼岸花」などに出演。傍ら監督業にも乗り出し、25年第一作として石川達三の小説を原作とした「女性対男性」を発表。その後も俳優業と両立しながら「執行猶予」「あゝ青春」「風雪二十年」「慟哭」「人生劇場」を立て続けに監督し、骨太の社会性を持った作品を演出して高評価を得た。特に29年公開の二・二六事件を扱った「叛乱」は当時の激しい時勢を見事に捉えた大作であったが、撮影途中で病気に倒れ、残り3分の1は阿部豊が代わって演出した。34年の「乙女の祈り」を最後に監督業から引退し、俳優に専念。36年からはテレビ映画を中心に活動したが、48年再び映画に復帰し、山本薩夫監督「華麗なる一族」「皇帝のいない八月」、中島貞夫監督「日本の首領」、大森健次郎監督「地震列島」などで貫禄ある役を好演し、50年小林正樹監督「化石」でキネマ旬報賞主演男優賞、毎日映画コンクール男優演技賞などを受賞した。57年の長谷部安春監督「化石の荒野」が遺作となった。

受賞
紫綬褒章〔昭和50年〕 ブルーリボン賞(新人演出賞 昭和25年度)「執行猶予」,キネマ旬報賞主演男優賞(昭和50年度)「化石」 毎日映画コンクール男優演技賞(昭25年度)「執行猶予」「帰郷」,毎日映画コンクール男優主演賞(昭27年度)「慟哭」「お茶漬の味」,毎日映画コンクール男優演技賞(昭50年度)「化石」

没年月日
昭和57年 9月22日 (1982年)

伝記
恋愛映画館三羽烏一代記―佐分利信・上原謙・佐野周二なつかしい芸人たち隣りの夫婦―ちょっといい話 小池 真理子 著野沢 一馬 編著色川 武大 著斉藤 茂太 著(発行元 講談社ワイズ出版新潮社三笠書房 ’04’99’89’86発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「佐分利 信」の解説

佐分利 信
サブリ シン

昭和期の映画俳優,映画監督



生年
明治42(1909)年2月12日

没年
昭和57(1982)年9月22日

出生地
北海道空知郡歌志内村

本名
石崎 由雄(イシザキ ヨシオ)

別名
前名=島津 元

学歴〔年〕
正則英語学校〔大正15年〕卒,日本俳優学校卒

主な受賞名〔年〕
ブルーリボン賞(新人演出賞 昭25年度)「執行猶予」,毎日映画コンクール男優演技賞(昭25年度)「執行猶予」「帰郷」,毎日映画コンクール男優主演賞(昭27年度)「慟哭」「お茶漬の味」,キネマ旬報賞主演男優賞(昭50年度)「化石」,毎日映画コンクール男優演技賞(昭50年度)「化石」,紫綬褒章〔昭和50年〕

経歴
15歳のとき上京、転々と職を替えながら夜学に通い、昭和5年日活入りして翌年「日本嬢」でデビュー。10年には松竹に移り、上原謙、佐野周二と並ぶ“松竹三羽ガラス”の一人として、戦前の松竹の看板スターとなった。いぶし銀のような渋い持ち味の二枚目俳優として知られ、代表作は「家族会議」「兄とその妹」「暖流」「帰郷」「自由学校」「お茶漬の味」「彼岸花」「華麗なる一族」「化石」など。25年には「女性対男性」で監督デビュー、以後「執行猶予」「風雪二十年」「慟哭」「人生劇場」「叛乱」と骨太の社会性を持った作品を演出した。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

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