佐藤愛子(読み)サトウアイコ

デジタル大辞泉 「佐藤愛子」の意味・読み・例文・類語

さとう‐あいこ【佐藤愛子】

[1923~ ]小説家大阪の生まれ。紅緑こうろくの娘。詩人サトウ・ハチロー異母兄。体験的なテーマを扱った家庭小説を、骨太でおおらかなタッチ執筆。「戦いすんで日が暮れて」で直木賞受賞。他に「ソクラテスの妻」「花はくれない」「血脈」、エッセー集「我が老後」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「佐藤愛子」の意味・わかりやすい解説

佐藤愛子
さとうあいこ
(1923― )

小説家。大阪市生まれ。父は作家紅緑(こうろく)、また詩人サトウ・ハチローは異母兄にあたる。旧制甲南高等女学校卒業。『文芸首都』に習作を発表。『ソクラテスの妻』『二人の女』(ともに1963)が芥川(あくたがわ)賞候補に、『加納大尉夫人』(1964)は直木賞候補となる。無力な夫のために苦労する妻の話『戦いすんで日が暮れて』(1969)で直木賞を受ける。自伝小説愛子』(1959)、紅緑の伝記『花はくれない』(1967)、母を描いた『女優万里子』(1974)のほか、女の宿命を描いた『その時がきた』(1971)、『ソクラテスの妻』同様、自己の分身を登場させて作品化した『幸福の絵』(1979。女流文学賞)、夫婦や家族について、そして教育問題をかわいたユーモアで描く長編『凪(なぎ)の光景』(1988)、『風の行方』(1997)などがある。また、2001年(平成13)には、父紅緑、兄ハチローなど家族をモデルとした『血脈』が完結、菊池寛賞を受賞した。ほかに、短編集『人生って何なんだ!』(1990)やエッセイ集『我が老後』(1993)、『不敵雑記――たしなみなし』(2001)などがあり、体験的な題材を扱った小説、エッセイで活躍している。骨太な筆法とおおらかな風刺精神に特色がある。

[田中美代子・橋詰静子]

『『我が老後』『我が老後 なんでこうなるの』『我が老後 だからこうなるの』『我が老後 そして、こうなった』(1993、95、97、2000・文芸春秋)』『『血脈』上中下(2001・文芸春秋)』『『不敵雑記――たしなみなし』(2001・集英社)』『『ソクラテスの妻』『その時がきた』(中公文庫)』『『戦いすんで日が暮れて』『花はくれない』(講談社文庫)』『『加納大尉夫人』『愛子』(角川文庫)』『『女優万里子』『幸福の絵』『凪の光景』上下『人生って何なんだ!』『風の行方』上下『自讃ユーモア短篇集』1~2(集英社文庫)』

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百科事典マイペディア 「佐藤愛子」の意味・わかりやすい解説

佐藤愛子【さとうあいこ】

小説家。大阪市生れ。佐藤紅緑の次女。サトウ・ハチローは異母兄。甲南高女卒。1969年《戦いすんで日が暮れて》で第61回直木賞受賞。以後,家庭を舞台にユーモラスな筆致で男性批判を行ういわゆる〈猛妻物〉に本領を発揮した。作品には他に《赤い夕日に照らされて》,父佐藤紅緑の伝記《花は紅――小説佐藤紅緑》などがある。

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