例・様(読み)ためし

精選版 日本国語大辞典 「例・様」の意味・読み・例文・類語

ためし【例・様】

〘名〙
① (現在と比較する際に想起される) 以前あった事柄。先例前例。また、習慣。ならい。
古今(905‐914)賀・三五三「いにしへにありきあらずは知らねどもちとせのためし君にはじめむ〈素性〉」
源氏(1001‐14頃)桐壺「楊貴妃のためしもひき出でつべくなりゆくに」
② てほんとなる事柄。ひきごと。引例。故事
書紀(720)欽明一四年六月(北野本訓)「又卜書(うらのふみ)暦本(こよみのタメシ)種々(くさくさ)の薬物(くすり)、付送る可し」
平家(13C前)九「『雪は野原をうづめども、老たる馬ぞ道はしる』と云ためしあり」
③ しるし。証拠。
※延喜式(927)三〇「凡受納調庸雑物者。〈略〉其絁絲綿布者。毎国品別割置為(ためし)。至于後年此比挍。違即勘返」
※堤中納言(11C中‐13C頃)逢坂越えぬ権中納言「左の根の中にことに長きを、ためしにもとて持たせ給へり」
④ 江戸時代の検見(けみ)の一方法。租率をきめるため、田地の任意の一坪を刈りとり、その総収穫高を推しはかること。坪刈(つぼがり)
※地方要集録(1741)手代小撿見之事(古事類苑・政治七九)「歩刈〈坪刈春穂刈、ためしとも云〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android