便乱坊(読み)べらぼう

精選版 日本国語大辞典 「便乱坊」の意味・読み・例文・類語

べら‐ぼう ‥バウ【便乱坊・篦棒ボウ

[1] 江戸時代、寛文一六六一‐七三)末年から延宝(一六七三‐八一初年にかけて、見世物で評判をとった奇人容貌きわめて醜く、全身真っ黒で、頭は鋭くとがり、眼は赤くて円く、あごは猿のようで、愚鈍なしぐさを見せて観客の笑いを誘ったという。
[2] 〘名〙
① ばかな人。たわけ。ばか。あほう。多く、人をののしっていう語。これに接尾語「め」が付いて「べらぼうめ」となり、さらに音が変化して、江戸ことばの「べらんめえ」となる。
狂歌卜養狂歌集(1681頃)「この竹をけづりてごくを押つぶす、これぞまことのそくひべらぼう」
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)三上「ヱヱつくなといふにべらぼうめ」
② (形動) ばかなさま。ばかげているさま。また、そのようなこと。でたらめ。
※雑俳・柳多留‐一一(1776)「べらぼうな夫を持って御仕合」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「べらぼう云や。雪女を連て来りゃア、途中で解て終はア」
③ (形動) あまりにはなはだしいさま。むやみやたら。法外。
※滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下「べらぼうにごたくをつくが」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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