係・関・拘(読み)かかわる

精選版 日本国語大辞典 「係・関・拘」の意味・読み・例文・類語

かかわ・る かかはる【係・関・拘】

[1] 〘自ラ下二〙 (拘) (漢文訓読に用いられた語) ある物事にとらわれて、それを気にする。こだわる。
※成唯識論寛治五年点(1091)八「諸の異生の煩悩に拘(カカハレ)たるが故に」
[2] 〘自ラ五(四)〙 (下二段から転じたものか)
① ある関係を持つ。世話をしたり、仕事に従ったりして、他とかかわり合いになる。
蜻蛉(974頃)上「かかる所も、とりつくろひかかはる人もなければ」
※魔風恋風(1903)〈小杉天外〉後「田舎出の女学生に関係(カカハ)ってるからさ!」
② ある物事にとらわれて、それを気にする。こだわる。
※文鏡秘府論保延四年点(1138)西「同韻の為には、此の限りに拘(カカハラ)ず」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「今は其様(そん)な、つまらぬ、くだらぬ、薬袋(やくたい)も無い事に拘(カカハ)ッてゐる時ではない」
③ 他からの力などに制約される。従う。
平家(13C前)六「目にも見えず、力にもかかはらぬ無常の殺鬼をば」
※肥後阿蘇品家文書‐宝治二年(1248)一二月・蔵人所牒写「或募私権門高家、有下知之輩之間」
文句不平を言いたてる。干渉する。
こんてむつすむん地(1610)一「上たる人のとりあつかひにかかはる事なかれ」
⑤ 物事の存立推移に重大な影響がある。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「おれが外聞にかかはらアナ」
破戒(1906)〈島崎藤村〉一四「人の一生の名誉に関(カカ)はるやうなことを」
⑥ 現在の状態を保つ。維持する。
毛利家文書‐弘治三年(1557)一一月二五日・毛利元就自筆書状「三人之半、少にてもかけこへたても候はは、たたたた三人御滅亡と可思召候〈略〉縦又かかはり候ても、名をうしない候て、一人二人かかはり候ては、何之用にすへく候哉」
⑦ 関係して生じる。
社会百面相(1902)〈内田魯庵〉序「此編収むるもの〈略〉一昨及昨両年の作に係はる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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