倉吉(市)(読み)くらよし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「倉吉(市)」の意味・わかりやすい解説

倉吉(市)
くらよし

鳥取県中央部にある都市。1953年(昭和28)倉吉上井(あげい)の2町と西郷(さいごう)、上小鴨(かみおがも)、社(やしろ)、上北条(かみほうじょう)、北谷(きただに)、高城(たかしろ)の6村と灘手(なだて)村の一部が合併して市制施行。1955年灘手村を編入。2005年(平成17)3月関金町(せきがねちょう)を編入。JR山陰本線、国道179号と313号が通じる。上井は鉄道、バス交通の中心地。市街地周辺丘陵上は古墳密集地で、国分寺地区には伯耆(ほうき)国府跡、国分寺跡があり、古代伯耆の中心地であった。1970年以降数回の発掘により、東西182メートル、南北160メートルの国分寺域と伽藍(がらん)配置が確認されて国の史跡に指定された。中心の倉吉は、南北朝時代に山名師義(もろよし)が打吹(うつぶき)山城に移城して以来城下町として発達、1617年(元和3)以後は鳥取藩家老の陣屋(じんや)所在地となった。江戸時代の建築物もあり、古い町並みを残している。かつては木綿産地で、1803年(享和3)には年産9万反を産した。また文化(ぶんか)年間(1804~1818)以降は倉吉千刃(せんば)(千歯扱(こき))産地としても知られ、1910年(明治43)には年産10万挺(ちょう)にのぼったが、ともに大正期に衰退した。明治中期以降製糸業がおこり、現在も繊維、農機具電機、木工業が盛ん。商圏は岡山県蒜山(ひるぜん)盆地にも及ぶが、鳥取、米子(よなご)の両商圏に挟まれてやや不振。市街地は山陰本線倉吉駅周辺の上井方向に延びている。国の史跡に三明寺(さんみょうじ)古墳、大原廃寺塔跡、阿弥大寺(あみだいじ)古墳群、国指定天然記念物に波波伎(ははき)神社社叢(しゃそう)などがあり、打吹山麓(さんろく)には市立の倉吉博物館・倉吉歴史民俗資料館がある。面積272.06平方キロメートル、人口4万6485(2020)。

[岩永 實]

『『倉吉市史』(1973・倉吉市)』『『新編倉吉市史』4巻・別巻1(1993~1996・倉吉市)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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