妊娠しないで黄体ホルモンの影響下にある状態をいう。多くの哺乳(ほにゅう)類では排卵後にできた黄体から黄体ホルモンが分泌され、あたかも妊娠しているかのような生殖付属器官の変化がおこる。この黄体を偽妊娠黄体といい妊娠黄体ほど大きく発達せず、ホルモンを分泌する期間も短い。ヒトやサルの場合は月経周期の後半がこれにあたり、子宮壁が発達するが、偽妊娠黄体の退化に伴ってそれが脱落し、出血すなわち月経を引き起こす。ラットやマウスでは排卵後の黄体はほとんどホルモンの分泌を行わず退化するが、発情期に交尾をしてしかも妊娠しなかった場合や、実験的に子宮頸管(けいかん)部を電気的にあるいは機械的に刺激してやると、黄体が普通以上に発達して黄体ホルモンを分泌するようになり、偽妊娠が誘致される。なおヒトの場合、妊娠を渇望する婦人に、ときに現れる想像妊娠を偽妊娠とよぶこともある。
[守 隆夫]
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…妊娠を切望したり,あるいは極端に恐れている女性に,実際は妊娠していないのに,妊娠性の自覚的・他覚的徴候がみられ,みずから妊娠したとの錯覚に陥った状況をいい,偽妊娠pseudocyesisともいう。このような患者では,無月経や脂肪沈着とか腸内ガスによる腹部膨満や,乳房の肥大,分泌や,乳頭,乳輪,腹壁正中線などの色素沈着の増加がみられることがある。…
※「偽妊娠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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