傷・疵・瑕・創(読み)きず

精選版 日本国語大辞典 「傷・疵・瑕・創」の意味・読み・例文・類語

きず【傷・疵・瑕・創】

〘名〙
① 皮膚や筋肉の、裂けたり破れたりした所。
万葉(8C後)五・八九七「いとのきて 痛き瘡(きず)には 鹹塩(からしほ)を 灌(そそ)くちふが如く」
※霊異記(810‐824)下「灼然く過無きを慇に探り、毛を吹きて疵(キズ)をば求む可からず。〈真福寺本訓釈 疵 キスヲハ〉」
② 物の一部が欠けたり、裂け目ができたりした所。われ目。さけ目。
書紀(720)神代上(水戸本訓)「鏡を以て其の石窟に入(い)れしかば、戸に触(つきふ)れて小瑕(こキス)つけり。其の瑕(キス)、今に猶存(うせす)
※宇津保(970‐999頃)忠こそ「仏造らせ給はむとて〈略〉割るに、いささかなるきずつかず」
③ 人の行為、容貌、性質などの不完全な所。欠点。
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「此の宮たちを、そこばくきずかたはなくおほしたてまつり」
※ぢいさんばあさん(1915)〈森鴎外〉「顔も顴骨(くゎんこつ)が稍出張ってゐるのが疵であるが」
④ 他から非難されるべき点。欠点。難点
※中華若木詩抄(1520頃)中「松の清節万木にすぐれたれども、無道第一なる始皇の封を受たる事がきずにてあるぞ」
⑤ 恥。不名誉。また、つけられた好ましくない跡。汚点
平家(13C前)一一「射損じ候(さうらひ)なば、ながきみかたの御きすにて候べし」
疑惑(1913)〈近松秋江〉「かけ換へのないものに取返しの付かぬ汚点(キズ)が付く」
⑥ 心などに受けた痛手打撃
※野の花(1901)〈田山花袋〉九「初恋傷痍(きず)の恐ろしさといふ事は」
⑦ 女陰をいう。たちきず。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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