精選版 日本国語大辞典 「償」の意味・読み・例文・類語
つぐの・う つぐのふ【償】
〘他ハ四〙 (古くは「つくのう」)
① =つぐなう(償)①
※観智院本三宝絵(984)中「纔にもとのかずを返て、いまだ利の銭をつくのはず」
② =つぐなう(償)②
※法華義疏長保四年点(1002)一「五百世に牛と作て之を償(ツくノヒテ)」
③ 用いる。利用する。
※龍光院本妙法蓮華経平安後期点(1050頃)二「我が力を傭(ツクノフ)て、物を得べき処には非ず」
[補注]今日多く用いる「つぐなう」はこの語の転じたもの。転じた時期は定かでない。
つぐな・う つぐなふ【償】
〘他ワ五(ハ四)〙 (「つぐのう(償)」の変化した語)
② 財貨・労働などによって、犯した罪やあやまちの埋め合わせをする。つぐのう。
※九冊本宝物集(1179頃)六「今この苦をうけたる、彼罪業をつぐなふ也、と仰られける」
つぐのい つぐのひ【償】
まど・う まどふ【償】
〘他ハ四〙 つぐなう。うめあわせる。弁償する。また、元どおりにする。
まよ・う まよふ【償】
つぐない つぐなひ【償】
〘名〙 (動詞「つぐなう(償)」の連用形の名詞化) つぐなうこと。また、そのための金銭、物品、行為など。つぐのい。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
※それから(1909)〈夏目漱石〉一六「其上僕を蛇蝎の様に悪ませさへすれば幾分か償(ツグナヒ)にはなる」
しょう シャウ【償】
〘名〙 つぐない。賠償。
※清原国賢書写本荘子抄(1530)八「世俗の事をせず、無為を楽てゐるに、国君と同食せんなど、世俗の上の償のあらんと云は」 〔戦国策‐秦策・恵文君〕
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