先天性第ⅩIII因子欠乏症

内科学 第10版 の解説

先天性第XIII因子欠乏症(先天性凝固・線溶因子欠乏症)

(3)先天性第ⅩⅢ因子欠乏症
 常染色体劣性遺伝性疾患で推定発症頻度は220万人に1人である.血漿中の第ⅩⅢ因子は凝固活性をもつaサブユニットと,そのキャリア蛋白であるbサブユニットが2つずつ結合した四量体として存在しており,本症はaサブユニットの欠乏によるⅠ型と,bサブユニットの欠乏によるⅡ型に分けられる.臨床症状は先天性無フィブリノゲン血症と同様に80%は新生児期の臍出血で発症する.安定した血栓が形成されないためその後は,遷延性出血あるいは再出血(一度止血した後,同じ部位から出血する)が起こるのが特徴的である.頭蓋内出血も約30%の症例にみられる.第因子はまた,創傷治癒や妊娠の維持にも関与しているので,本症では創傷治癒の遅延,皮膚損傷部位の瘢痕形成,習慣流産が観察される.スクリーニング検査所見はすべて正常なので臨床的に本症が疑われる場合は第ⅩⅢ因子活性を測定する必要がある.止血治療や妊娠の維持には第ⅩⅢ因子濃縮製剤を投与する.[白幡 聡]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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