入江-高砂貝塚(読み)いりえたかさごかいづか

国指定史跡ガイド 「入江-高砂貝塚」の解説

いりえたかさごかいづか【入江-高砂貝塚】


北海道虻田郡洞爺湖(とうやこ)町高砂町にある縄文時代早期から晩期にかけて形成された、2つの貝塚遺跡入江貝塚は1942年(昭和17)に海軍工場の住宅建設の際に発見された。縄文時代の前半から後半にかけての多数の竪穴(たてあな)住居跡や貯蔵用の穴、3ヵ所の大きな貝塚、19体の人骨が発見されている。遺物に貝は少なく、動物や魚の骨が多いのが特徴。灰や焼け土が厚く積もって断面が黒く見えるため「黒い貝塚」とも呼ばれる。高砂貝塚は縄文の後半から擦文(さつもん)時代、近世アイヌ時代にかけての遺跡で、1950年(昭和25)に伊達高校郷土研究部が発見した。縄文時代の終わりごろの墓が29ヵ所見つかっている。入江貝塚は1988年(昭和63)に国指定史跡となり、高砂貝塚は2002年(平成14)に追加指定された。これらは入江・高砂貝塚公園(12月1日から3月31日の冬季は閉館)として整備され、半地下型の「道具の広場」では、ガラス越しに大規模な貝塚露出が見学できる。また、「住居の広場」では、縄文時代の竪穴住居遺構と骨格の2種類で復元している。発掘された土器土偶などは、近くの入江・高砂貝塚館に展示されている。JR室蘭本線洞爺駅から徒歩約25分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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