八大竜王(読み)ハチダイリュウオウ

デジタル大辞泉 「八大竜王」の意味・読み・例文・類語

はち‐だいりゅうおう〔‐ダイリユウワウ〕【八大竜王】

法華経賛嘆さんだん法会に列した8体の護法竜王難陀なんだ跋難陀ばつなんだ沙伽羅しゃがら和修吉わしゅきつ徳叉迦とくしゃか阿那婆達多あなばだった摩那斯まなし優鉢羅うはつらの八竜王。雨をつかさどるという。八大竜神。八竜王。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「八大竜王」の意味・わかりやすい解説

八大竜王
はちだいりゅうおう

『法華経(ほけきょう)』が説かれたとき聴衆として参加した8種の竜王。〔1〕難陀(なんだ)(ナンダNandaの音写。「歓喜」の意)、〔2〕跋(ばつ)難陀(ウパナンダUpananda「弟ナンダ」)、〔3〕沙伽羅(しゃがら)(サーガラSāgara「海」)、〔4〕和修吉(わしゅきち)(バースキVāsuki「九頭」)、〔5〕徳叉迦(とくしゃか)(タクシャカTakaka「多舌」)、〔6〕阿耨達(あのくだつ)(アナバタプタAnavatapta「無熱悩」)、〔7〕摩那斯(まなし)(マナスビンManasvin「慈心」)、〔8〕優鉢羅(うぱら)(ウトゥパラカUtpalaka「青蓮華(れんげ)」)をいう。なお、「提婆達多品(だいばだったぼん)」によると、沙伽羅竜王の娘は8歳で即身成仏(じょうぶつ)したという。敦煌(とんこう)第249窟(くつ)の天井画の九頭の竜は和修吉かもしれない。

[定方 晟]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八大竜王」の意味・わかりやすい解説

八大竜王
はちだいりゅうおう

釈尊が『法華経』を説いたとき,その聴衆に加わった8種のナーガ nāga (竜) の王のこと。

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世界大百科事典(旧版)内の八大竜王の言及

【竜王】より

…《法華経》には,釈迦が同経を説いたとき列席して説法を聴いた8尊の竜王の名が説かれる。難陀,跋難陀(ばなんだ),娑伽羅(さから),和修吉(わしゆきつ),徳叉迦(とくしやか),阿那娑達多(あなばだつた),摩那斯(まなす),優鉢羅(うばつら)の8尊で,八大竜王と総称される。竜王を本尊として単独に造像することはほとんどないが,密教における祈雨の修法である請雨経法の本尊となる請雨経曼荼羅(まんだら)では,釈迦如来の侍者として八大竜王が描かれている。…

※「八大竜王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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