八杉 龍一(読み)ヤスギ リュウイチ

20世紀日本人名事典 「八杉 龍一」の解説

八杉 龍一
ヤスギ リュウイチ

昭和期の動物学者,科学評論家 東京工業大学名誉教授。



生年
明治44(1911)年9月6日

没年
平成9(1997)年10月27日

出生地
東京・青山

学歴〔年〕
東京帝国大学理学部動物学科〔昭和10年〕卒

学位〔年〕
文学博士〔昭和36年〕

主な受賞名〔年〕
毎日出版文化賞(第5回 11回)〔昭和26年 32年〕「動物の子どもたち」「生命の科学」(全6巻),産経児童出版文化賞(第6回 31回)〔昭和34年 59年〕「人間の歴史」「神秘の島ガラパゴス」,毎日出版文化賞特別賞(第40回)〔昭和61年〕「現代生物学大系」(全14巻)

経歴
内外化学製品会社技師、東京女高師講師、日本女子大学講師などを経て、昭和37〜47年東京工業大学教授、のち名誉教授。47〜57年早稲田大学商学部教授。当初は両生類の相対的生長研究など、実験動物の研究から生物学史とくに進化論史研究に転じ、著述家として活躍。戦後初期特に22〜25年にはソ連の農業生物学者D.ルイセンコの生物学説を精力的に紹介。生物学における機械論・目的論などの問題について独自の見解を示し、進化論における方法の問題に関し精緻な議論を展開した。ダーウィンの生存競争説成立のきっかけがマルサスの「人口論」だとする定説に疑問をはさみ、生存競争説の誕生にはより一般的な社会の状況を考慮に入れるべきだと主張した。また「動物の子供たち」「人間の歴史」など、児童・少年向きのすぐれた科学書を著わし、啓蒙家としても活動。著書に「ラマルクからダーウィンへ」「近代進化思想史」「進化学序論」「進化論の歴史」「科学的人間の形成」「ダーウィンの生涯」「生命論と進化思想」「一生物学者の思索遍歴」「生物学的人間像」「生物学の歴史〈上・下〉」「新版・科学とは何か」、訳書ハンソン「動物の分類と進化」、ダーウィン「種の起源」など多数。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

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