八雲(読み)やくも

精選版 日本国語大辞典 「八雲」の意味・読み・例文・類語

や‐くも【八雲】

〘名〙
① 幾重にも重なった雲。八重雲
古事記(712)上・歌謡「夜久毛(ヤクモ)立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る 其の八重垣を」
② (①の「古事記」の歌が、三十一文字の和歌の初めとされるところから) 和歌。また、歌道
※玄玉(1191‐92頃)仮名序やまと歌は、やくものかぜ久しく伝はりて」
浪花新聞‐明治九年(1876)四月一日「東京で八雲の行はれると同じ事だと承まはりました」

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デジタル大辞泉 「八雲」の意味・読み・例文・類語

や‐くも【八雲】

いく重にも重なり合う雲。八重雲。
「―立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」〈・上・歌謡〉
1の歌が和歌の初めであるとするところから》和歌。

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改訂新版 世界大百科事典 「八雲」の意味・わかりやすい解説

八雲[町] (やくも)

北海道南西部,渡島(おしま)支庁二海(ふたみ)郡の町。2005年10月熊石(くまいし)町と旧八雲町が合体して成立した。なおこの際,山越郡と爾志(にし)郡の各一部から二海郡が新設された。人口1万8896(2010)。

八雲町南西部の旧町。檜山支庁の旧爾志郡所属。渡島半島中部西岸に位置し,日本海に面する。1962年町制。人口3802(2000)。地名はアイヌ語の〈クマウシ〉(魚を乾かす干し竿がたくさんある所)に由来する。松前藩時代からニシン漁が盛んに行われた所で,全就業者の14%(1990)が漁業就業者であるが,ここ20年間に半減した。スケトウダラ,イカがおもな漁獲物である。慢性的出稼地帯になっており,建設業の就業者が30%を占めている。小さな河川の流域の平地や海岸段丘ではジャガイモや水稲を主とした農業も営まれているが,就業者は4%にすぎず,兼業農家が多い。道南休養村があり,国民宿舎などの施設がある。

八雲町の南西部を除く旧町。渡島支庁の旧山越郡所属。人口1万7636(2000)。渡島半島北東部に位置し,東は内浦湾に面する。市街地は遊楽部(ゆうらつぷ)川河口付近に発達し,JR函館本線,国道5号線が通じる。その北西方に道央自動車道の八雲インターチェンジがあり,東南部には落部(おとしべ)インターチェンジがある。1878年徳川慶勝(よしかつ)が旧尾張藩士授産のために土地の払下げを受け,徳川農場を開いてから開拓が始まった。大正期まではジャガイモの生産とデンプン製造が盛んで輸出もされたが,昭和初期の不況により酪農に転換し,道南一の酪農地帯となっている。ホタテガイ養殖が行われ,サケやカレイの漁獲も多い。内浦湾を見下ろす八雲温泉(単純泉,30~41℃),落部(おとしべ)川上流の銀婚湯温泉(純食塩泉,80~90℃)など多くの温泉がある。
執筆者:

八雲(島根) (やくも)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「八雲」の意味・わかりやすい解説

八雲
やくも

島根県東部、八束郡(やつかぐん)にあった旧村名(八雲村(むら))。現在は松江市の南部を占める地域。旧八雲村は、1951年(昭和26)岩坂、熊野の2村が合併して成立。新村名は記紀歌謡の「八雲立つ出雲(いずも)八重垣……」にちなむ。2005年(平成17)松江市に合併。国道432号が通じる。山地に囲まれ中央を北流する意宇(いう)川流域に沖積地が開け、稲作を中心にメロン、ワサビなどを特産する。近年は住宅団地の造成など、住宅地化が進んでいる。熊野の空山(そらやま)遺跡は旧石器時代のもの。熊野大社は平安初期までは出雲一宮(いちのみや)であったが、出雲国造(くにのみやつこ)の杵築(きづき)移住で衰微した。神社の近くには八雲温泉がある。松江藩政期に始まる岩坂の和紙業は現在民芸紙として復活。安部榮四郎(あべえいしろう)(1902―1984)は雁皮紙(がんぴし)製作技術保存者として知られ、和紙に関する資料を集めた安部榮四郎記念館がある。

[江村幹雄]

『『八雲村誌』(1998・八雲村)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八雲」の意味・わかりやすい解説

八雲
やくも

島根県北東部,松江市南部の旧村域。 1951年岩坂村,熊野村の2村と大庭村の一部が合体して発足。 2005年松江市,鹿島町,島根町,美保関町,玉湯町,宍道町,八束町の1市6町と合体して松江市となった。大部分が山林で,かつては林業が盛んであった。現在は周辺市街地に通勤する兼業農家が多く,住宅地化が著しい。 1907年に県下で最初に乳牛を導入した先進地。岩坂では手漉き和紙を産し,出雲民芸紙として有名。熊野には『出雲国風土記』にも記される古社熊野大社がある。

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デジタル大辞泉プラス 「八雲」の解説

八雲

広越株式会社が展開する和食店のチェーン。

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