八頭(町)(読み)やず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「八頭(町)」の意味・わかりやすい解説

八頭(町)
やず

鳥取県東部、八頭郡にある町。2005年(平成17)3月、八頭郡郡家町(こおげちょう)、船岡町(ふなおかちょう)、八東町(はっとうちょう)が合併して成立。北東端に氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園の一角を占める扇ノ山(おうぎのせん)(1310メートル)がそびえ、町域を貫流する八東川の段丘上におもな集落、耕地が展開。町の西部をJR因美(いんび)線が縦断、同線郡家駅で分岐する若桜(わかさ)鉄道や国道29号、482号が八東川沿いに走る。農業では花御所(はなごしょ)柿が特産、ほかに米(船岡米)、二十世紀ナシ、リンゴ、西条ガキなどの果樹、広留野(ひろどめの)ダイコン、キノコ類、花卉(かき)などの栽培が盛ん。船岡は、江戸時代は鳥取藩家老乾(いぬい)家の陣屋町、川船輸送の拠点として繁栄、明治時代には牛馬市が立ち、賑(にぎ)わった。1739年(元文4)に起きた元文一揆(げんぶんいっき)(因伯(いんぱく)両国にわたる鳥取藩の全藩一揆)の首謀者とされる松田勘右衛門は、当地東(ひがし)村の信望ある篤農家であった。青龍(せいりゅう)寺が蔵する木造持国天(じこくてん)立像、木造多聞天(たもんてん)立像は国指定重要文化財。白鳳時代建立と考えられる土師百井(はじももい)廃寺は国指定史跡。江戸時代に大庄屋を勤めた矢部家の住宅(17世紀初期)は県下最古級の民家で、国指定重要文化財。沢神社の麒麟獅子舞は県指定無形民俗文化財。面積206.71平方キロメートル、人口1万5937(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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