日本大百科全書(ニッポニカ) 「六法(中国絵画)」の意味・わかりやすい解説
六法(中国絵画)
ろっぽう
「りくほう」ともいう。中国南北朝時代、南斉(なんせい)(479~503)の謝赫(しゃかく)が『古画品録(こがひんろく)』で述べた、絵画制作の六つの要点。このことばは東洋絵画における真髄を表したものとして、現在でも重宝がられている。確かにその内容は的確で含蓄があり、長い年月を経てもその輝きを失わない。その六つとは、(1)気韻生動(きいんせいどう)=気の充実した生き生きした表現、(2)骨法用筆(こっぽうようひつ)=骨格のしっかりした線で対象を確実に把握すること、(3)応物象形(おうぶつしょうけい)=対象の形に応じて写実的に描くこと、(4)随類賦彩(ずいるいふさい)=対象に従って色をつける、(5)経営位置(けいえいいち)=構図をしっかり決める、(6)伝移模写(でんいもしゃ)=古画の模写を行い技術・精神を学ぶ、以上である。このなかでも「気韻生動」は、芸術全般に適合することばとして広く使われてきた。
[近藤秀実]